NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

11-01-01から1年間の記事一覧

三冠王の帰還

11月4日の金曜日、クライマックスシリーズセカンドステージ第二戦を見に行った。岸と攝津の投げ合い。1回裏に内川のタイムリーで1点取るも、2回表に連打を浴び、2点を取られる。6回裏に本多の2塁打、内川のセカンドゴロで3進し、カブレラの犠牲フ…

白血病についての大雑把な解説

■今回報道された急性白血病と福島原発作業の因果関係は?というエントリーについて、id:rnaさんから、『「事前の健康診断で白血球数の異常がなかったとしても、まったく不思議はありません」ここもうちょっと説明が欲しい。』とのコメントをいただきました。…

「T細胞の改変で末期の白血病患者が全快」の元論文を読んでみた

とりあえずやっつけなので、裏のほうへ載せる。適宜、修正する可能性がある。正確性を求める人は、直接、論文を読んでください。 ■T細胞の改変で末期の白血病患者が全快、米研究 国際ニュース : AFPBB News 米ペンシルベニア大(University of Pennsylvania…

玄米菜食では癌は克服できなかったのか

玄米菜食で癌を克服しようとするブログがあった。現在(この文章は2011年7月28日に書かれた)、ブログは閉じられているが、私の記憶では、標準医療で治癒を得られる見込みがある病態であったにも関わらず、標準医療を拒否して、代替医療を行っていた。しばし…

酔いがさめたら、うちに帰ろう。

■酔いがさめたら、うちに帰ろう。 [単行本] 鴨志田 穣 (著) アルコール依存患者の書いた私小説。アルコール依存症がどういう病気なのか、理解の一助になる。フィクションとなっているが、細部はともかくとして、概ね事実に基づいているのだろう。あらかじめ…

a_watcherさんとの関わりについてのまとめ

コメント欄に変な人が現れた(2010年2月ごろ) ■学会会場での自由な討論を萎縮させる徳洲会の提訴のコメント欄に、変な人が現れたことがあった。といっても、まあ、いつものこと。詳しくはリンク先のコメント欄を読んでいただくとして、pure_watcherさんとい…

セックスメディア30年史

■セックスメディア30年史欲望の革命児たち (ちくま新書) [単行本] 荻上 チキ (著) 新進気鋭の評論家が、「絶対に許さない(P29)」と批判するセックスメディアとは一体何か?読んでのお楽しみ。「2000年 ある大学生の風景(P98)」。綿密な取材に基づいてい…

銃・病原菌・鉄

■銃・病原菌・鉄 ジャレド ダイアモンド (著), 倉骨 彰 (翻訳) 今頃(2011年6月)読んだ。なるほど、面白い。読む価値あり。ただ、難を言えば、長い。もうちょっとコンパクトにまとまらなかったのか。あと、これ読んでいると、猛烈にCivilizationをプレイし…

レジデント初期研修用資料 医療とコミュニケーションについて

■レジデント初期研修用資料 医療とコミュニケーションについて medtoolz (著) 著者のブログを読んでいたから買った。医療とタイトルについているが、医療以外にも応用が効きそう。というか、医療以外の話を医療に応用している本だ。参考文献の多くは、医療と…

なとろむ団/NATROM団とは何か?

このエントリーは真面目な内容です。ジョークを真顔で解説しているような恥ずかしさがあるので、過去のエントリーの一つとしてこっそり書いています。なとろむ団について誤解している人にそっとメールなどで教えることができるように、あるいは、「なとろむ…

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

■もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら [単行本] 岩崎 夏海 (著)流行りものだから読んでみた。文章はきわめて平易でさっくり読めた。「小説としてその文体はいかがなものか」という批判もあったが、私は気にならない。別…

受動喫煙の害は容認(2011年12月13日追加)

放射線被曝と喫煙の害を比較すると、「被曝のリスクを過小評価しているエア御用」呼ばわりされることが多い。確かに能動喫煙については(ニコチン依存の問題があるものの)自発的に選択したリスクであるから、被曝と比較するのは不適切であろう。しかし、サ…

注釈なしにブログの文章を改変(2011年9月20日追加)

■武田邦彦 (中部大学): 日本人が大人になるチャンス・・・タバコの危険性において、いつものように、なんら注釈なく文章が改変されていた。 喫煙者で肺がんになる人の割合は600分の1であり、「喫煙で肺がんが増加する」ことがあり得ても、「喫煙すると肺…

半減期を計算する謎の式を提唱(2011年7月25日追記)

■武田邦彦 (中部大学): 原発 緊急情報(58) これから:セシウムを防ぐ日常生活 セシウム本来の半減期は30年ですが、このように被ばくしない工夫をしたときの半減期は、次の式で計算します.1/(半減期)=1/(30年)+1/(環境半減期)+1/(…

「原子力が最も安全であることは歴史的に証明されている」

■原子力委員会 研究開発専門部会(第6回) 議事録(PDFファイル) それから、今までのエネルギー開発もしくはエネルギー生産の歴史から言えば、原 子力が最も安全であることは歴史的に証明されているわけですが、それが理解されて いないというか、事実とし…

日本人やヨーロッパ人や環境学専攻の専門家は統合失調症であると主張(2011年6月9日追加)

武田邦彦氏の専門用語の使い方はきわめて杜撰である。 ■武田邦彦 (中部大学): ベトナム紀行 (2) メコンの恵み なぜ、日本の地方は「過疎」になるのだろうか? 日本人は「自然が良いと言いながら都市に住む」という統合失調症(昔の精神分裂症)で、ベト…

注釈なしにブログの文章を改変(2011年6月3日追加)

平成23年3月13日執筆の武田氏のブログの「人間が放射線によって障害を受ける最低の放射線は200ミリシーベルト付近」という文章が、なんら注釈なく改変されていた(2011年6月3日現在)。 人間が放射線によって障害を受ける最低の放射線は200ミリシーベルト付…

鎌状赤血球症について捏造された逸話を紹介

武田邦彦氏は、鎌状赤血球症について、よくある誤解をしている。問題は、誤解そのものではなく、誤解に基づいて逸話を捏造した、もしくは、捏造された逸話を紹介したところにある(2013年1月19日、コメント欄でのMSさんの指摘を受けて追記)。根本的には、き…

イコン

■イコン〈上〉 [単行本] フレデリック フォーサイス (著), 篠原 慎 (翻訳) スパイ小説はほとんど読まないが、たまたま縁があり読んでみた。なるほど、面白い。ただ、話の都合上なのだろうが、敵の頭が悪い。中二病的妄想を文書にするのも頭が悪いし、その文…

暗殺の壁画

■暗殺の壁画 石原 慎太郎 (著) 「ノンフィクション・ノベル」とあるから何かと思ったら、事実を下敷きにした小説。「敵を知る」ことも大事と思って読んでみた。思いのほか、面白く読めた。とは言え、買って読むほどではない。

「生命と非生命のあいだ―NASAの地球外生命研究」

■生命と非生命のあいだ―NASAの地球外生命研究 [単行本] ピーター D.ウォード (著), 長野 敬 (翻訳), 野村 尚子 (翻訳) 原著は2005年、訳書は2008年。著者は、NASAの助成金を得ているが、完全にNASAの組織に属しているというわけではなさそうだ。著者は、「チ…

植物で未来をつくる(植物まるかじり叢書 5)

■植物で未来をつくる(植物まるかじり叢書 5) 松永 和紀 (著), 日本植物生理学会 (監修) 植物科学の研究者(主に応用)7人に、著者がインタビューして書いた記事。本著の著者の松永和紀氏も、大学院までは植物生理学を目指していたそうだ。完全に門外漢に書か…

生命の跳躍――進化の10大発明 [単行本]

■生命の跳躍――進化の10大発明 [単行本] ニック・レーン (著), 斉藤 隆央 (翻訳) 面白かった。読む価値あり。ただし、やや難易度高い。新しい発見がいろいろあった。たとえば、レスリー・オーゲルの第2法則「進化はあなたよりも賢い」の例(P261)。タコやイ…

床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫) [文庫]

■床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫) [文庫] メアリー ノートン (著), ダイアナ・スタンレー (イラスト), 林 容吉 (翻訳) 「借りぐらしのアリエッティ」の原作。Borrowersを「借りぐらし」と訳したのは素晴らしい。アニメと違って、日本…

強い者は生き残れない 環境から考える新しい進化論

■強い者は生き残れない 環境から考える新しい進化論 [単行本] 吉村 仁 (著) 同じ著者による■素数ゼミの秘密は面白かったが、こちらは期待はずれ。著者の言う、「新しい進化論」のどこらあたりが新しいのか、私には理解できなかったからだ。 サブタイトルにあ…

宇宙は何でできているのか

■宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書) [新書] 村山 斉 (著) 妻が買ってきた。いま売れているらしい。なるほど、わかりやすく書けている。おそらくは(というか確実に)正確さは犠牲になっているのだろう。しかし、専門家でない我々にとっては、一定以上の…

ダメ情報の見分けかた

■ダメ情報の見分けかた―メディアと幸福につきあうために (生活人新書 334) [新書] 荻上 チキ (著), 飯田 泰之 (著), 鈴木 謙介 (著) チキさんの新刊なので買った。

心の潜在力 プラシーボ効果

■心の潜在力 プラシーボ効果 (朝日選書) [単行本] 広瀬 弘忠 (著) 2001年。著者は心理学科卒。文章は平易。アマゾンではトンデモ本だという評価があるが、そうでもない。というか、わりといい。プラセボ研究の紹介の際、きっちりと参考文献を提示してあるの…

偽薬のミステリー

■偽薬のミステリー [単行本] パトリック ルモワンヌ (著), 小野 克彦 (翻訳), 山田 浩之 (翻訳) 原著は1996年。著者はフランスの精神科医。参考文献一覧はあるが、フランス語が混じっているのと、本文からの参照ができないので、資料としては使いづらい。し…

リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理

■リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理 ダン・ガードナー (著), 田淵 健太 (翻訳) 読む価値あり。評判通りの良い本だった。