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「生命と非生命のあいだ―NASAの地球外生命研究」


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■生命と非生命のあいだ―NASAの地球外生命研究 [単行本] ピーター D.ウォード (著), 長野 敬 (翻訳), 野村 尚子 (翻訳)


原著は2005年、訳書は2008年。著者は、NASAの助成金を得ているが、完全にNASAの組織に属しているというわけではなさそうだ。著者は、「チャンスがあれば生命は誕生しうる。しかし、多細胞生物に進化したり、ましてや知的生物になるのは難しいのだろう」という立場。そんなわけで、SETI(地球外知的生命体探査)には、やや批判的。もっと優先順位は他にあり、「古生物学者を火星に、生化学者をタイタンに」送ってはどうか、と宣言する。火星はかつて液体の水が豊富で、微生物程度の生命が存在した可能性があり、また、タイタンは、アンモニアを溶媒とした炭素生物や珪素生命が存在する可能性がある、と著者は主張する。これらの主張がどれくらい妥当性があるのか、私には判断できない。しかしながら、多くある似たような題名の本と同じかそれ以上に、面白く読めたのは確かだ。


訳は、こまかい注釈があって親切。日本人の読者がみな、「スタートレック」を良く知っているわけではない。