本
上部消化管内視鏡やCT検査など、がんの検査には一定の苦痛やリスクを伴うものが多いです。もし、微量の血液や尿でがん検査ができれば素晴らしいことです。すでに商業化されている検査法の一つに尿1滴で15種類のがんリスクがわかると称されているがん線虫検査…
WHOのがん統計のグラフデータベースがリニューアルされました。これを機会に使い方を解説します。「がん死亡数が増え続けているのは先進国では日本だけ」なんてデマを検証できますし、他国を含めてさまざまながんの統計を知るのは楽しいものです。リニューア…
プレジデント2022.10.14号で「信じてはいけない!健康診断、医者、クスリ 最新版・コロナ対応 病院に頼らない生き方」という特集が組まれ、養老孟司氏と和田秀樹氏の対談が掲載されました。その対談から和田氏の発言部分を引用したツイートが6000件以上のリ…
イベルメクチンはもともとは寄生虫に対する薬だったが、試験管内で抗ウイルス効果が確認され、新型コロナに効果があると期待する医療者もいた。興和株式会社が新型コロナウイルス感染症に対するイベルメクチンの第3相試験を行っていたが、このたび、主要評…
がんに関する不正確な情報の一つに「がん死亡数が増え続けているのは先進国では日本だけ」「がん死亡数は欧米では減っているが日本だけ増加し続けている」というものがある。「抗がん剤は害しかない」「がん検診は無駄だ」「残留農薬や添加物が多い食事が原…
同じ用語が分野によって異なる意味で使われることがあります。たとえば「過剰診断」という用語がそうです。■「過剰診断」とは何かという記事で、過剰診断を「治療しなくても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない病気を診断すること」という定義を私…
高リスク者(現喫煙者・過去喫煙者)を対象とした低線量CTによる肺がん検診が、肺がん死亡率を下げるという複数のランダム化比較試験があります。高リスク者に限り、低線量CT肺がん検診が推奨されている国もあります。では低リスク者(非喫煙者)には?私の…
機会があってこのたび、共著ではありますが、本を2冊書かせていただきましたのでご紹介します。 新型コロナとワクチンの「本当のこと」がわかる本~【検証】新型コロナ デマ・陰謀論 発売日は2021年12月28日です。複数のメンバーの共著で、私が執筆したのは…
「色のふしぎ」と不思議な社会 ――2020年代の「色覚」原論 (単行本) 献本御礼。タイトルの通り、色覚についての自然科学、および、「色覚異常」*1と社会との関わりについて書かれた本だ。サイエンスの部分(第2部)も興味深いが*2、その部分の書評は他の方に…
■健康を食い物にするメディアたち ネット時代の医療情報との付き合い方 朽木 誠一郎 (著) 私は「WELQ問題」にぜんぜん気づいていなかった。WELQ問題とは、「一部上場企業のディー・エヌ・エーが、グーグルなどの検索エンジンを攻略し、ウソや不正確な情報を…
■「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法 中室牧子 (著), 津川友介 (著) 相関関係があるからといって必ずしも因果関係があるとは限らない*1。テレビを長時間見ている子どもほど学力が低いとしても、テレビの視聴が低い学力の原因とは限らな…
■生態学と化学物質とリスク評価 (共立スマートセレクション) 加茂 将史 (著) 生態学と生態リスク評価はだいぶ違うものらしい。本書は基本的にはリスク評価、とくに生態リスク評価の方法の解説であるが、ちょいちょい挟まれる著者の経験が興味深い。著者の加…
■効かない健康食品 危ない自然・天然 (光文社新書) 松永 和紀 (著) 松永和紀さんの新刊。ちなみに和紀は「かずのり」ではなく「わき」と読む。本書のプロフィールによれば、毎日新聞社の記者として10年間働いた後に退職し、科学ジャーナリストとして活動を開…
■各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと(メタモル出版)もうすでにご存知の読者もいらっしゃると思いますが、『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』という本が出ました。タイトルの通り、複数の分野の専…
■「ニセ医学」に騙されないためにの帯に推薦文を書いていただいた宋美玄先生について、■コメント欄でご質問があった。 ついでに「メタモル出版から本を出したわけ」より「宋美玄先生推薦!」の方が気になったりしています。私の記憶の限りではNATROMさ…
『■ 「ニセ医学」に騙されないために』が本日発売になりました。すでに、さまざまなご意見、ご感想をいただいています。本当にありがとうございます。見本は出版社からいただきましたが、本屋で売っている現場をまだ見ていません。通勤途中の本屋に一軒だけ…
■「ニセ医学」に騙されないためにを出すにあたって、なぜメタモル出版からなのか、疑問に思われた方もいたようである。もっともな疑問である。 怪しい出版社から執筆依頼メールが来た これまでも「本を書きませんか」というオファーは何度かあった。名前ぐら…
本を書きました。2014年6月25日が発売予定日です。 ■「ニセ医学」に騙されないために NATROM (著) 内容はこのブログの読者にとっては馴染み深いものです。「抗がん剤は毒にしかならない」「麻薬系の鎮痛剤は体に悪い」「瀉血でデトックスできる」という誤解…
医局に転がってた■ためしてガッテン 健康の新常識事典を何気なく読んでみた。各項目が健康に関する「常識」についての○か×のクイズ形式になっており、次のページに答えと解説が入る。全体的には良い本である。ただ、このクイズがなにげに難しいのだ。たとえ…
.style1 { color: #000066; font-weight: bold } ■謎解き超科学 ASIOS (著)著者のASIOSは団体名(「Association for Skeptical Investigation of Supernatural」(超常現象の懐疑的調査のための会)である。実際には本書は複数の著者によって書かれている。…
■世界で一番美しい元素図鑑 セオドア・グレイ (著), 若林文高 (監修), ニック・マン (写真), 武井摩利 (翻訳) 元素コレクターによって書かれた本。元素コレクターというか、元素オタクと言っていい。この本は元素に対する愛にあふれている。著者のセオドア・…
みんなが知りたい化石の疑問50 ■みんなが知りたい化石の疑問50 北村雄一(著) 2011年初版。著者の北村雄一は、カバーによれば、「フリージャーナリスト兼イラストレーター」と紹介されている。おそらくは中学生〜高校生向けに書かれたのだろう。文章は平易で…
■脳の中の「わたし」坂井克之著, 榎本俊二著。 脳研究者による本。「脳科学」は、一部の脳科学者のために、いささか怪しい分野であるように見えるが、この本は大丈夫だ(と私は判断した)。私は未読であるが、著者の坂井は、「脳トレ」や「ゲーム脳」などの…
■食の安全と環境−「気分のエコ」にはだまされない(シリーズ 地球と人間の環境を考える11) 松永和紀の新刊。ちなみに、和紀は、「かずのり」ではなく、「わき」と読む。本書のサブタイトルは『「気分のエコ」にはだまされない』。「気分のエコ」については、…
■代替医療のトリック(サイモン・シン著, エツァート・エルンスト著, 青木薫訳)。原題はTrick or Treatment?。著者の一人のサイモン・シンは、サイエンスライターとしてトップクラスであり、暗号解読やフェルマーの最終定理といった著作がある。「代替医療…
ドーキンスの新刊の進化の存在証明を読み終えた。垂水雄二訳。巻頭に30ページ以上のカラー口絵がついている。本屋で見かけたら、口絵の部分だけでもざっと見るべき。私のお勧めは、シファカ(マダガスカルのサル)のダンス。 [f:id:NATROM:20100104160900j:i…
案の定、ナイチンゲールが大人気のようなので、看護覚え書―看護であること・看護でないこと」(現代社; 改訂第6版版)から、とくに私が感銘を受けた部分を紹介しよう。看護の本であるからして、看護婦の行動の例がたくさん提示されるのであるが、その多くが…
鈴木みその「マンガ 物理に強くなる」(ブルーバックス 関口知彦・原作)がいい。何がいいって、特に眼鏡っ娘が。 運動方程式の凄さを力説するメガネっ娘。 この、実に楽しそうに運動方程式の解説をする女子高生が教師役。生徒役は、物理で赤点だと補習のため…
麻酔科医ハナ (1)(アクションコミックス) なかお白亜 (著)。 医師を主人公とした漫画はたくさんあるが、その主人公の多くはスーパードクターか、でなければ青臭い理想論を吐く暇そうな研修医である。医師からは、漫画の中の「名医」に対しては厳しい見方がさ…
がんばれ!猫山先生 (1) 日本医事新報という医師向けの雑誌に連載されている4コママンガが異様に面白いのだが、このたび単行本になったので即買いした。いわば「内輪ネタ」なので、普通の人が読んで面白いかどうかはわからない。 完全に医師目線 主人公は内科…