NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

16-01-01から1年間の記事一覧

高リスク者に対する低線量CTによる肺がん検診は肺がん死を減らさない

Results of the Randomized Danish Lung Cancer Screening Trial with Focus on High-Risk Profiling. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2648562050歳〜70歳の喫煙者を対象としたCTによる肺がん検診は肺がん死を減らさない。オランダ。RCT。4104人が対象…

検診の有効性に関する誤解

過剰診断に関する誤解と別にしておいたほうがいいだろう。 誤解:検診によって5年生存率が改善すれば、検診は有効だ。 事実:リードタイムバイアスやレングスバイアスがあるので、5年生存率の改善は検診の有効性の判定には使えない。 誤解:検診によって早期…

過剰診断に関する誤解

過剰診断に関する誤解は広く見られる。誤解の実例の収集、および、誤解の訂正を試みることは無駄ではないだろう。とりあえず仮の置き場であって、誤解している人たちに向けた詳細な説明ではない。 ●誤解:ガイドラインに照らせば手術適応である。よって過剰…

林衛さんにお尋ねして、いまのところお返事がもらえていない質問のリスト2

「肺がん検診有効は痰の検査とあわせた場合だけ」とは、がんセンターのスライドからは読み取れないってことは同意できますか? 「過剰診断はスルーしていたがんセンター」という林衛さんの発言*1に対し、その認識が誤っていることを示すために国立がん研究セ…

言ってもいないことを言ったとされてしまう問題について

誤読等によって、相手が言ってもいないことを言ったかのように誤解することは誰にもあります。しかし、その頻度が異常に高い場合には、意図的に相手の主張を捻じ曲げているとか、相手の言っていることを正確に理解する能力に欠けているとか、何らかの問題の…

林衛さんにお尋ねして、いまのところお返事がもらえていない質問のリスト(2016年2月19日)

福島の小児甲状腺がん検診において「早期発見・治療が効果をあげていると考えられる」*1と仰られましたが、その「効果」は何をアウトカムとして評価していますか? がん検診の効果を「5年生存率や10年生存率」「診断されたがん全体における早期発見された…

澤田石先生からのご質問へのお返事、および、こちらからの質問の再掲。(2016年2月6日)

澤田石先生、リプライありがとうございました。今回はたくさんご質問をいただいたので、ブログのほうでお答えいたします。 「私が個人批判をする条件は現実世界で知り合いである」と言いつつ、一方で、「現実世界で知り合い」ではない村中璃子氏に対しては批…

難病指定について

慢性活動性EBウイルス感染症で亡くなった声優さんの記事についたid:ko_kanagawa さんのブックマークコメント( http://b.hatena.ne.jp/ko_kanagawa/20160203#bookmark-277959794 )へのお返事です。難病の制度は最近変わりました。制度が変わる以前は、指定さ…

澤田石先生に対する反論と不確実な医療における考え方について(2016年1月30日)

■澤田石 順(生活の党) 吉良議員応援 on Twishort: ■ #HPVV ヒトパピローマウイルスワクチン #…に対する反論です。 ASIA syndromeについて。医療介入はリスクとメリットを勘案して判断するべきものでは? 1)重要論文 ``Human Papilloma Virus Vaccine and Pri…