NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

12-01-01から1年間の記事一覧

オランダでの自宅出産vs病院出産

■Planned home compared with planned hospital b... [Obstet Gynecol. 2011] - PubMed - NCBIサマリーをざっとしか読んでない。コホート研究(たぶん後ろ向き)。2000年から2007年。オランダ。予定された自宅出産対予定された病院出産。約68万人の低リスク…

低出生体重児に対するBCG接種は非特異的な利益をもたらす?

ぼんやりPubmedをみてたら見つけた。■Randomized trial of BCG vaccination at birth to... [J Infect Dis. 2011] - PubMed - NCBIこれまでの観察研究はBCGが生存に関して非特異的な利益を示唆していたのだと。つまり「結核による死亡を減らします」とかでは…

B型肝炎ワクチンは長い針で

■Effect of needle length for response to hepatitis B ... [Vaccine. 2012] - PubMed - NCBI 新生児に対するB型肝炎ワクチンは、長い針で接種した方が標準的な針よりも、HBs抗体価が高くなる。RCT。へえ。

妊婦に対するインフルエンザワクチンの安全性

おまけ。妊婦がインフル予防注射した場合に胎児死亡率は4250%増加するっていう告発記事をみた。怖!っていうか当たり前っていうか?!http://healthimpactnews.com/2012/4250-increase-in-fetal-deaths-reported-to-vaers-after-flu-shot-given-to-pregnant-…

アフラトキシン関連肝癌の集団寄与危険、系統的レビューおよびメタアナリシス

アフラトキシンの集団寄与危険の論文があった。サマリーのみ。本文は未読。 ■Population attributable risk of aflatoxin-relat... [Eur J Cancer. 2012] - PubMed - NCBI Population attributable risk of aflatoxin-related liver cancer: systematic revi…

2005年のBMJに掲載された、北アメリカの自宅出産についての論文

Johnson KC, Daviss BA., Outcomes of planned home births with certified professional midwives: large prospective study in North America., BMJ. 2005 Jun 18;330(7505):1416. http://www.bmj.com/content/330/7505/1416ざっと読んでみた。全文公開さ…

自宅出産では新生児に蘇生が必要になる確率が低いか?

「病院出産に比べて自宅出産では…新生児に蘇生が必要になる確率も低い」*1って本当かな?関連論文をびゃーっと眺めた限りでは必ずしもそうは言えないような。たとえば、アメリカ合衆国でのスタディ、Wax JR, Pinette MG, Cartin A, Blackstone J. Maternal a…

韓国での甲状腺癌の増加

韓国で甲状腺癌が増えている。女性で1999年に6.3が、2007年には25.2(たぶん1000人対)。なぜか。Cancer Statistics in Korea: Incidence, Mortality and Survival in 2006-2007 ( http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2908777/pdf/jkms-25-1113.p…

ホメオパシーが靱帯断裂を悪化させたと思われる事例

ホメオパシーで使用されるレメディは薬理学的にはただの砂糖玉であり、薬効もなければ副作用もない。しかし、ホメオパシーは標準医療否定と強く結びついており、ときに問題となる。ホメオパシーに頼り、結果的に外傷を悪化させたと思われる実例を紹介する。…

医療化とか広義の医原病とか

医原病というと、たとえば輸血由来のウイルス性肝炎のようなものだと思っていたけど、ウィキペディアによればそれは狭義の医原病であって、それとは別に広義の医原病もあるとのこと。 ウィキペディアより引用『「社会的医原病」とは、今日の医療社会学や医療…

「尿管癌も移植腎候補にしよう」

2012年のAm J Transplant。万波先生たち。■Restored renal transplants from donors with ... [Am J Transplant. 2012] - PubMed - NCBI現時点での「修復腎移植」の候補は小径腎細胞がんである。それ以外に下部尿管癌(移行上皮癌)*1も移植源になるのではな…

牛乳と癌のメモ

■Dairy Foods, Calcium, and Colorectal Cancer: A Pooled Analysis of 10 Cohort Studies10のコホート研究のメタアナリシス。カルシウムおよび牛乳の摂取は低い大腸癌のリスクと関連する。牛乳の消費量の最も少ないグループ(量反応関係はありそう。交絡要因…

ホメオパシーの欠点5つ

■Homeopathy is where the harm is: five unethical effects of funding unscientific ‘remedies’ -- Shaw 36 (3): 130 -- Journal of Medical Ethicsを大雑把に読んで要約した。 ホメオパシーのどこが良くないのか。非科学的な「レメディー」に資金提供する…

■やっぱり 抗がん剤は効かない!? - Togetterへコメントしようとしたら、コメントが閉じられていた。せっかくコメントを書いたのでメモ。 【なぜ人は他人をかくも激しく批判するのか?】。ですよね、標準医療を激しく批判する人の動機が気になります。具体的…

家庭での火の使用は肺癌のリスクになる

能動喫煙は肺癌のリスクである。受動喫煙も、リスクとしては大きくないが、やはり肺癌のリスクになる。以前、蚊取り線香も肺癌のリスクであるという論文を紹介した。要するに煙は肺癌のリスクということであろう。今回、中国において暖房もしくは調理に関連…

医療ネグレクトについてのメモ

代替医療批判に対して、『最近の日本では「命が絶対大事教」が権勢を誇っている』『敬虔なキリスト教徒なら「神に召された」と考えるでしょうね』などと主張する人がいた。文脈からは、『日本では代替医療によって子供が死んだら大騒ぎするが、海外では「神…

スウェーデン女性における低炭水化物高蛋白食と心血管系疾患:前向きコホート研究

いわゆる糖質制限食。短期的にはHbA1cの改善や体重減少があるのは確か。長期的には利益が害を上回るのかどうかというのが議論になっている。糖質制限食に批判的な意見としては、「HbA1cの数字や体重が改善したって、体に悪いかもしれないじゃん」というもの…

慢性心不全患者における太極拳。RCT。

■Tai chi exercise in patients with chronic he... [Arch Intern Med. 2011] - PubMed - NCBI太極拳は"Tai chi exercise"とか"tai-chi training"とか言うらしい。まあ運動なんだから慢性心不全に効いてもおかしくはない。n=50(12週間の太極拳)対n=50(対…

早期腎がんの長期予後、部分切除対片腎全切除

■Long-term survival following partial vs radical nephrec... [JAMA. 2012] - PubMed - NCBI対象:メディケア受給者の1992年から2007年までのstage T1a の腎がん患者。部分切除 1925人 対 根治切除(片腎全摘) 5213人 方法:後ろ向きコホート。 アウトカ…

ホメオパシーはリウマチ性関節炎に対して臨床的利益があったんだよ!

■Homeopathy has clinical benefits in rheumatoid arthritis patients that are attributable to the consultation process but not the homeopathic remedy: a randomized controlled clinical trialホメオパシーはリウマチ性関節炎に対して臨床的利益があ…

「相対リスク」の謎

私が学生のころ、(たしか)公衆衛生学で疫学の基礎を習ったのだが、「症例対照研究では相対リスクは計算できない」と教わった。「相対リスクはコホート研究でしか計算できない。症例対照研究で計算できるのは相対リスクではなくオッズ比であり、罹患率(ア…

食事療法は前立腺癌の進行を抑えるか?

代替医療に親和的な医師が「癌の進行を抑える食事療法*1」という記事を書いていたので調べてみた。以下に引用する研究に基づいているとのこと。 ■ライフスタイルと食事の変更で前立腺癌の進行を有意に抑制:医師のための専門情報サイト[MT Pro] Ornish教授ら…