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生命の跳躍――進化の10大発明 [単行本]


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■生命の跳躍――進化の10大発明 [単行本] ニック・レーン (著), 斉藤 隆央 (翻訳)



面白かった。読む価値あり。ただし、やや難易度高い。

新しい発見がいろいろあった。たとえば、レスリー・オーゲルの第2法則「進化はあなたよりも賢い」の例(P261)。

タコやイカの目と比較して、脊椎動物の目は、「できそこない」とされている。「できそこない」で悪ければ、「盲目の時計職人」によるものだ。神経線維が、感光部分より光に近い側にある。欠点は二つある(ただし、進化より愚かな人間から見て)。「配線が光を邪魔するだろ」「盲点ができるだろ」。しかし、ニック・レーンによれば、「状況はもっと複雑」なのだ。簡単に言うと、

  • ニューロンの配線は無色なので、光の通過をそれほど妨げない。光子を導く役割すらあるかも。
  • エネルギー消費の激しい部分に酸素などを供給するのに、感光部分を血管に近い側に配置したろうが有利だろ。

タコは光の弱い水中に住んでいるからいいけど(エネルギー消費はそれほどでもない)、多くの脊椎動物にとっては、「できそこない」の目の方が実際には良いデザインなのかもしれない。

他にも、興味深い例が山ほど。