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日本人やヨーロッパ人や環境学専攻の専門家は統合失調症であると主張(2011年6月9日追加)

武田邦彦氏の専門用語の使い方はきわめて杜撰である。


■武田邦彦 (中部大学): ベトナム紀行 (2) メコンの恵み


なぜ、日本の地方は「過疎」になるのだろうか? 日本人は「自然が良いと言いながら都市に住む」という統合失調症(昔の精神分裂症)で、ベトナムの人は健全な精神を持った人たちのようにも見える.


■武田邦彦 (中部大学): 相手の身になって考える (2) 


ところで、近代ヨーロッパの文化には素晴らしいものがありますが、それはアジア人の血と汗でできあがったものでした。もし、ヨーロッパ人が言動一致、誠実な民族だったら、自分が小説や哲学、芸術で示したこと・・・人間の尊重・・・を軍事でも示したと思いますが、ヨーロッパ人ははっきりした二重人格、統合失調症ですから、それは期待できなかったのです.


■武田邦彦 (中部大学): 環境学原論 5 環境学専攻の専門家とその人の私生活


その専門家が「地球温暖化、生物多様性喪失、資源枯渇」がもし環境破壊につながると考えているとすると、それは「より高い収入とより快適な生活」という人生の目的とは相容れないからである.
従って、東京都市圏に住む環境の専門家は、正常な精神状態にいることはできず、統合失調症(価値観の異なることを同時になしえる精神病)になると考えられる.
環境問題に共通する統合失調現象は現実に不可能な学問的結論を得ていることに原因がある。この事実は今後の環境学にとってきわめて深刻な課題になると考えられる。


武田邦彦氏が統合失調症という専門用語を理解していないのは明らかである。統合失調症は「価値観の異なることを同時になしえる精神病」ではない。確かに、統合失調症、つまりかつての精神分裂病(schizophrenie)の基本症状の一つに、両価性(ambivalence) はあるが、それだけで統合失調症とは言えない。程度は異なるものの、どのような人も両価性を持つ。たとえば、武田氏は、ダイオキシンの害については「発癌リスク1.4倍が「毒性がない」と表現しても間違いではない」とする一方で、低用量放射線被ばくの害については「非常に大きな値」であるとしている*1。「自然が良いと言いながら都市に住む」ぐらいで統合失調症に見えるのであれば、武田氏にはすべての人が統合失調症に見えるのだろうか。そうではなく、単に武田氏は、一知半解で専門用語を恣意的に使用しているだけだと思われる。たとえば、「核爆発」という専門用語をどれだけ恣意的に使用しているか。