NATROMのブログ

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受動喫煙の害は容認(2011年12月13日追加)

放射線被曝と喫煙の害を比較すると、「被曝のリスクを過小評価しているエア御用」呼ばわりされることが多い。確かに能動喫煙については(ニコチン依存の問題があるものの)自発的に選択したリスクであるから、被曝と比較するのは不適切であろう。しかし、サードハンドスモークまで含めた受動喫煙との比較は適切であると私は考える。どちらもリスクは比較的小さく、場合によっては不確定ではあるが、非自発的にリスクにさらされ、社会的、経済的理由によってリスクから逃れることが困難な人たちがいる。

被曝の害を声高に主張する人たちの多くが、受動喫煙の害についてはきわめて過小評価しているのは奇妙に思える。武田邦彦氏について、具体的に数字を挙げて受動喫煙に容認的な発言を「発掘」したので、被曝の害についての評価も併せて記録に留めておく。


■武田邦彦 (中部大学): タバコを考える パート2 他人に被害を与える限度


しばらくして,「タバコは本人ばかりではなく,一緒に生活をしている人が肺がんになる」との報告があり,早速,調べて見た.

職業上,テレビで言ったからその通りに他人に言うということもできず,最初,まだヨーロッパで研究しているときに論文を読んだら,「タバコを吸う人に対して,タバコを吸う人と生活を共にする人の発癌の確率は40分の1」ということだった.

それなら禁煙を勧めるには少し弱いと思った.この世には「他人に迷惑をかける」という行為は多い.



■武田邦彦 (中部大学): 生活と原子力02   1ミリ、100ミリ、「直ちに」の差は?


また、わたくしは、「100人に1人」という数はかなり高いように思います。親の気持ちなれば、1000人に1人でも危ないと思い、1万人に1人ぐらいになれば、何とか防いであげることができると思うのではないでしょうか。


いったいなぜ、受動喫煙であれば40分の1のリスクは「禁煙を勧めるには少し弱い」思うのに、被曝のリスクは「1000人に1人でも危ない」と思うのであろうか?