NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

2015-12-01から1ヶ月間の記事一覧

2015年の年間ベスト記事(自薦)

「見えない道場本舗」のgryphonさんが「ブログ書いてる人は、年末に自分の記事の「年間ベスト」を紹介してよ」と、ご提案されていた*1。光栄なことにidコール付きでご指名もいただいたので、2015年に書いた記事のうち、3つほど再紹介してみよう。 ■「過剰診…

卵巣がん検診における過剰診断はどれくらい?

症状のない人に対してがん検診を行うと、一定の割合で過剰診断が起こる*1。つまり、治療しなくても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない人をがんだと診断してしまう。がんと診断された人が過剰診断かどうか、診断した時点で正確に判定する手段はな…

卵巣がん検診は卵巣がんによる死亡を減らさない

がん検診の害は過小評価されている一方で、利益は過大評価されている。早期発見によって予後が改善するのは当たり前だと誤解している人もいるが、がん検診が有効である条件はけっこうシビアである。たとえば、がんの進行する速度が速すぎてはいけない。膵臓…

韓国における甲状腺がんの手術が減少した

■韓国における甲状腺がんの過剰診断では、1993年と比較して2011年には韓国の甲状腺がんの罹患率が15倍になったという論文を紹介した。同じ著者が、2014年の4月〜6月の四半期から手術の件数が減ったことを報告している*1。図を引用するのが手っ取り早い。棒グ…