NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

2008-01-01から1年間の記事一覧

「所さんの目がテン!」で血液型を科学してた

「mixiのもういいよ血液型」コミュ*1経由で、「所さんの目がテン!」が血液型を扱うという情報を手に入れた。事前の情報ではちょっと不安が漂う。 ■はやく知りたい!次回の目がテン! “病気に強い血液型発見(仮)” (2008年10月19日放送予定)*2 (魚拓) 最…

イカす研修医募集のページ

医師は医学部を卒業したら研修を行う。昔は、卒業したら大体は大学の医局に所属して、医局が研修先を決めていた。財前教授@白い巨塔ほどではないにしろ、やはり教授は権力を握っていて、あまり条件の良くない病院にも研修医は行かされていた。研修医は貴重…

「癌が治った」という体験談はどこまで信頼できるか

■ニセ科学を見抜く練習問題(世界医学気功学会の論文集から) では、前立腺癌・膀胱癌が気功によって治ったかのような体験談は、実は初めから癌ではなかったと思われることを示した。癌でなかったとしたら、「医師が癌だと告知したのはどういうことよ?」と…

ニセ科学を見抜く練習問題(世界医学気功学会の論文集から)

突然ですがここでクイズです。以下に、『気功による癌(ガン)の克服』【克服症例】として前立腺癌・膀胱癌の例が提示されています。この症例は癌が克服されたと言えますか?理由をつけて答えてください ■気功施術・指導 大明気功院 世界医学気功学会 発表論…

「心に青雲」ステキ語録

「心に青雲」というブログの■ノーベル賞受賞者の哀れというエントリーが注目されている。ノーベル賞という話題のトピックに加え、「学問の世界の基準からすれば、こんなゴミみたいな研究で、世界的な発見だとは笑止である」とか、「しょせんノーベル賞なんか…

DNAアクティベーションとは

「スピリチュアルヒーリングサロン」のページでDNAアクティベーションについて書かれていた。当たり前だけど転写の話なんて出てきませんよ。電波浴をしたい方にお勧め。 ■DNAアクティベーション*1 ★24本のDNAを活性することで、アダム・カドモン(制限のない…

縦読みを仕込む新聞社

今回は小ネタ。内容にはコメントしないが、正直面白かった。 ■デスク日記 とんでもない事件だ(西日本新聞) とんでもない事件だ。北九州市と福岡県苅田町にまたがる自動車メーカーの部品工場に爆発物が投げ込まれ、地面に穴が開いた。工場を建設した会社の…

動画由来のトンデモが今後のトレンドになるかも

話題になっている神舟7号映像捏造説。このっ、バカ共が!(松浦晋也のL/D)を初めとして詳細な検討がなされている。いまさらながら、ニコニコ動画の「中国の「神舟7号」の船外活動の映像の中に・・・泡が?」を見てきた。10万再生。VOCALOIDなら殿堂入り。 …

「死ぬこともある」と説明すべきか

昨今、医師は十分な説明を行うことを期待されているが、一方でネガティブな情報については説明して欲しくないという意見もある。「福岡県医報」という雑誌に、「ジャーナリストからの風」というコラムがある。医療関係の取材を行ったマスコミ関係者が、医療…

肝臓癌はなぜ西日本で多いのか?

肝臓癌の発生率が西日本で高いことについて、主因はHCV(C型肝炎ウイルス)の感染率が西日本で高いことにある。じゃあ、HCVの感染率はなぜ西日本で高いのか。もともと高かったのであろうが、詳細は不明である。感染率に地域差があるウイルスは他にも知られて…

ホメオパシー大百科事典は読み物として面白い

マヤズムについて調べたとき参考にした、ホメオパシー大百科事典。読み物として結構面白い。たとえばレウム(大黄)のレメディーのプロフィール(P162)。 レウムは不機嫌そうな顔をし、控えめで引っ込み思案だが、落ち着きがなく「口論はお手の物」というよう…

臨床を教科書レベルに上げてもらわねば困る

近年、ようやく医療の限界についてマスコミ各社の理解も進んで来たかのように見えるが、それでも十分とはとても言えない。西日本新聞の2008年9月13日夕刊に大野病院事件についてのコラムが載った。まず、およそ20年前の福岡県内の公立病院で癒着胎盤のため大…

事故米のアフラトキシンによる肝癌のリスクを大雑把に計算してみた

日本の肝細胞癌の主な原因がC型肝炎ウイルスであること、C型肝炎ウイルスの感染率が西高東低のパターンを取ることを知っていれば、「肝臓がん患者は事故米が流通し始めた10年前から西日本を中心に爆発的に増加中」という主張がデマであることはすぐにわか…

有害米と肝臓癌死亡数の増加は無関係

「肝臓がん患者は事故米が流通し始めた10年前から西日本を中心に爆発的に増加中」という指摘がある。■「企業努力とテクニックで」 有害米、なんと正規米にも混ぜて出荷…三笠フーズ*1(痛いニュース(ノ∀`))の63より引用。 肝臓がん患者の推移の資料図 [f:id…

マヤズムについて簡単に調べてみた

■発達障害と梅毒マヤズム。(ホツマツタヱ。)でhotsumaさんに「どうやら呪いのような超エネルギーらしい」と言われていた梅毒マヤズム。マヤズム(Miasm)という概念について、ホメオパシージャパンのページ*1では (4)マヤズムの原理マヤズムって何でしょう…

素数ゼミの秘密

■17年と13年だけ大発生?素数ゼミの秘密に迫る! (サイエンス・アイ新書 72) 吉村仁(著)。 素数ゼミとは、北アメリカ大陸において13年もしくは17年ごとに大発生するセミである。素数ゼミナールのことではない。なぜ周期が素数なのか?以前どこかで、寄生虫との…

血液型性格判断の大家・田淵幸一の華麗な戦績

今さっき知ったのだが、北京オリンピック野球日本代表の田淵ヘッド兼打撃コーチは「球界きっての血液型性格判断の大家」なのだそうである。オリンピックが終わる前に批判できればよかったのだが。 ■星野熱血指導より…田淵「血液」診断野球が“えぇ!” (ZAKZA…

大野病院の産科医は妊婦を「帝王切開死させた」のか

スポニチの見出しが酷い件について。 ■帝王切開死させた産科医に無罪判決(スポニチ) 「帝王切開死させた」というのは検察側の主張である。「帝王切開死させた疑い」や「帝王切開死させたとされる」という表現ならともかく、断定的な見出しは不適切である。…

「選択肢の確保」と「規制の強化」

助産所の嘱託医がヤブだったせいで死産になったと主張される例*1。 ■【お産難民を救え 助産師はいま】(4)母としての自覚(MSN産経ニュース) 白木の小箱にわが子を納め、女性は病室で手を合わせた。妊娠5カ月で陣痛がきてしまい、出産する予定だった助産…

小径腎細胞癌の腎臓を移植しても結構大丈夫だけど

■そろそろ感染する癌について一言いっておくか(SaitoToshiki.com)で、「感染する癌」という興味深い話題が取り上げられた。感染する癌といっても人ではなくイヌの話。人の癌は感染しない。がん細胞を取り出して培養するとよく増える。しかし、ある人のがん…

ニセ科学に騙された?カール・セーガン

いい加減食傷気味ではあるが、日本パイプクラブ連盟にまた興味深い論説が掲載された。 ■北京の大気汚染の元凶は?*1(日本パイプクラブ連盟) 嫌煙派の医者は、「肺癌は煙草が原因」「副流煙はタバコを吸わない人の健康を脅かす」と主張していますが、これは…

私も、「上から目線」を反省してみました

「上から目線」を反省してみました(Liber Studiorum)を読んで、私も反省しました。 私もアカデミックな議論にかぶれて、人間としての温かい心を忘れてしまっていたようです。 他人に対して「お前にこそ馬鹿の壁がある」なんて言葉を投げつけるなんて、氷の…

みんなそんなに借金好きか?

もともと私にはクレジットカードを使う習慣はなかったのだが、ETCカードやアマゾンの支払いのために契約した。毎月カード会社から利用明細と一緒に送られてくる広告に、いかに「リボ払い」が便利で有用であるかが記載されている。「リボ払い」がなんなのか初…

喫煙擁護「良識派」のレベルの程度

■良識派の見解(日本パイプクラブ連盟)経由で、サンデー毎日に「最近の行き過ぎたタバコ狩り、健康ファシズムの風潮を憂慮するコラム記事」が載ったことを知った。「ポイ捨て・喫煙禁止条例」において、違反者に2000円の罰金を科すことに「違和感」を表明す…

すべての医療ミスを免責せよ?

小倉弁護士は、「すべての医療ミスを免責せよ」と医療者が主張していると思っているらしい。しかし、たとえば、以下のような医療ミスを免責せよと主張する医療者がどれくらいいるだろうか。 ■「極論」といえば反論した気になれる。(la_causette) 業務上過…

「尿でがん」ニセ検査キット摘発

ヤフーのトップページに、『「尿でがん」ニセ検査キット摘発』という記事が載っていた。 ■「尿でがん」ニセ検査キット摘発、「陰性」信じ死亡例も*1(読売新聞)[容疑者の名前は引用者によりイニシャルに変更] 発表によると、3人は2006年6月〜昨年12…

がんSTOP音頭/細胞カラーチェッカー

ひょんなことから発見した「がんSTOP音頭」がステキなので紹介します。タイトルからだと、「禁煙しましょう」「検診受けましょう」的なものを予想してしまいますが、もちろん違います。 ■がんSTOP元気クラブ(セミナー案内)*1 1 何かおかしな 現代医学 …

ニセ科学を見抜く練習問題(「バイオラバー」応援サイトから)

突然ですがここでクイズです。バイオラバーは山本化学工業株式会社が開発した特殊なラバーで、「人体が持つ波長にもっとも近いバイオウェーブを出し、その共振効果によって、健康づくりや医療分野などで活躍」しているそうです。以下に引用する臨床実験で、…

ワクチンと自閉症の関係を今さら問題にする朝日新聞書評

7月6日付けの朝日新聞の書評欄に、アメリカの毒を食らう人たちという本の書評が載っていた。書評者は常田景子という人で翻訳家だそうである。 産業優先の政府や、企業におもねる科学者に対する義憤に満ちた本だ。アメリカの危機的状況を告発した本ではあるが…

911陰謀論には工作員だらけ

千島学説のとき、ちょいと話題に出したリチャード・コシミズ氏を覚えておいでだろうか。911同時多発テロはユダヤ資本による自作自演だと主張している、要するに911陰謀論者。で、そのコシミズ氏の後援会が「独立党」である。その独立党が内ゲバで愉快なことに…