NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

トンデモ

病原体は自然発生する!森下敬一@千島学説の業績

酒向猛先生と並んで、千島学説を追試したと言われる数少ない医師の一人が森下敬一先生である。残念ながら、「現代医学・生物学の常識からすれば,まさしく破天荒そのものの現象」であったためか、学会発表では「よき理解者を得るには至ら」ず、「中央のいわ…

千島学説を追試した論文は存在した!?

誰かが「地球が球形だなんてウソだ。大地は平らで、端は滝になっていて、大きな亀の上に乗っているんだ」と主張したとしよう。まともに相手をする必要があるだろうか?暇なら地球球形説の根拠を解説するぐらいの親切心を出してもいいが、まあ指を指されて笑…

「利己的遺伝子説@南堂久史」

■利己的遺伝子と男の浮気に対して南堂さんから反論があった。南堂氏がこのエントリーに反論するのであれば、是非、誰がそのような主張をしているのか、具体的な引用とともにご教示いただきたいと書いておいたのだが、もちろんのこと具体的な引用はされていな…

利己的遺伝子と男の浮気

利己的遺伝子説の批判者は、こう誤解することが多い。 ■ドーキンス説の問題*1 利己的遺伝子説を信じる進化論学者は、こう主張することが多い。 「男はみんな浮気をするのが当然だ。そうすればたくさんの遺伝子を残せて有利だからだ」 こう主張するとき、彼ら…

C型肝炎が治らないなんて誰がいったの?

新聞1面の下4分の1にはよく本の広告が載っている。内容がデタラメのトンデモ本でも載るようだが、新聞社も商売であるからして仕方なかろう。だが、たとえば「南京大虐殺はなかった!朝日新聞の欺瞞」といった本でも載せてくれるかどうかは興味深いところであ…

進化論は間違っていたんだよ!

な・・・・なんだってー!!(AA略) ■進化論は間違っていた!?(livedoorニュース) 「実はダーウィンの進化論を生命の進化の常識として信じきっているのは日本人くらいなのです。ダーウィンの進化論は聖書が語るすべてを否定することで、すなわち神の存在を…

ニセ科学批判者は科学を絶対視しているか?

ニセ科学批判批判をされているmercaさんの新しいエントリー。 ■ニセ科学批判の意味空間(社会学玄論)*1 ニセ科学は、やはり科学が唯一絶対的な正しい真理であるという暗黙の前提に支えられているような気がする。そして、ニセ科学批判も、科学の立場からな…

たばこは無添加でないと健康に悪い

「無農薬・無添加の健康に良いタバコ」という冗談はあったけど、実際に存在しているのを見ると感慨深い。 ■無添加!*1 ※無添加なたばこ 通常の紙巻きたばこにはなんらかの添加物が使用してあるようですが、ここで紹介するのは、たばこ葉に化学添加物を使用し…

低学歴ほどダーウィン進化論を信じない

■米国人が信じるのは「進化論」より「悪魔」(ロイター)というニュース。「地獄や悪魔を信じる人は62%」に対し、「ダーウィンの進化論を信じていると答えたのは全体の42%」という結果だったため、かような見出しになっている。以前の調査と比較しても…

瀬戸弘幸ウォッチ

■ナノ食品を売る右派政治家でも紹介した、「極右を自称する日本で数少ない政治運動家の一人」*1であるところの瀬戸弘幸氏。ナノゼリーを売ることはあきらめたようだが、「健康食品や加工食品、あるいは化粧品など人間の健康と美容全般に渡って意見の交換を行…

カイロプラクティックでみるみるγGTPが

「黄色」が電磁波から身を守るで紹介した山口純子先生による診療でγGTPが下がったという体験談を見つけた。この方は、「音楽業界に13年間勤務」して「毎晩のようにお酒を飲んでた」ところ、γGTPの値が677に。正常値はだいたい50以下である。医師からは、「1…

「黄色」が電磁波から身を守る

さて、今回紹介するのは、調布カイロプラクティックオフィスのカイロプラクター、山口純子先生*1の仮説です。ストレスであなたの骨がゆがんでいます!という著作*2を書かれており、それだけでもちょっと アレ気 期待大なのですが、骨を歪ませる電磁波から身…

O型は肉を食え?血液型別ダイエットは根拠なし

やせる方法にも科学的根拠のあるものからトンデモなものまでいろいろだ。たとえば血液型別ダイエットなんてものまである。ちょいとGoogle検索してみたら、まあ予想できるように上位はほとんど肯定的なページである。中には科学的な考証をしたページもあって…

タバコはジャガイモや水道水より安全?

■るいネット((URL:[]http://www.rui.jp/[]))という「新しい認識を求める人のサイト」がある。「30年の実績を持つ企業・類グループを中心に管理・運営」されているのだそうだ。以前、るいネットの人たちと議論する機会があったが、彼らの認識が新しすぎて私がつ…

母乳で伝わる遺伝子

無知と偏見は連鎖する。病気の原因がわかっていなかったのがハンセン病患者に対する偏見の一因である。ハンセン病は感染症であり、感染力は非常に弱いことが周知されれば、「ハンセン病は患者が過去に犯した悪行に対する報いだ」などという偏見は消えていく…

嫌煙系のトンデモ

煙草の害に関しての意見には両極端があるようで、能動喫煙すら害は証明されていないと主張する一方の端と、喫煙の害を過大に主張するもう一方の端とがある。「たばこの害は医学的に証明されたといっても、実際のところ、証明なんて言うのもおこがましい状態…

喫煙者の壁

医局に置いてあった文藝春秋をふと読んでみると、「変な国・日本の禁煙原理主義」という記事があった。「官が押しつける健康増進。この国はおかしくなっている」という副題がついている。養老孟司と、山崎正和という劇作家の対談形式。確かに、最近の禁煙運…

ナノ食品を売る右派政治家

維新政党・新風より公認され比例区に出馬した、せと弘幸氏が、なにやら怪しげな商売をはじめたらしい。 ■ナノテク食品と販売開始のお伝え*1 これは私の友人が6年ほど前から取り組み、技術的な経験を積み重ねて、ようやく完成にこの度こぎつけたものです。今…

これこそ文化!柳生すばる先生の自画像

紫藤ムサシ先生による素晴らしい絵は失われていましたが、柳生すばる先生の絵はまだプロフィールに使われていました。マンガ作成ソフトがプロの使用に耐えるかどうか判断でき、「マンガの無限の可能性については一家言ある」、すばる先生の描くイラストはど…

柳生すばる先生コミケへ行く

「理系保守」紫藤ムサシ先生の正統なる後継者、我らが柳生すばる先生が夏コミへ行ったそうです。すばる先生は一見したところ、維新政党・新風を応援する「新風連」に加盟してたりして右寄りの思想を持っていると思われがちです。しかし実のところは右傾化し…

獅子身中の虫

維新政党・新風という政党があります。政治的には右寄りというか、日本の政党の中では極右と言ってよいでしょう。この維新政党・新風を応援するNET連合が「新風連」です。「新風連」は大勢のブロガーによって支えられているそうなのですが、そのうちの1…

信仰と狂気〜吉村医院での幸せなお産

「幸せなお産」というコラムを見つけた。「有機野菜・無添加の素材をつかったオーガニック料理」を配達するお店のサイトのコンテンツ*1で、「人生マクロビオティック」「オーガニック生活のすすめ」といったコラムの中の一つである。たまたまうまくいった例…

トンデモに効くクスリ

ある朝、郵便受けに山田玲司のマンガが入っていた。正確には、新聞の号外のかたちで計8ページのうち、マンガは4ページ。「豪快な号外 30秒で世界を変えちゃう新聞」と書いてある*1。全体的には地球温暖化を何とかしようという趣旨でそれはいいのだが、どこ…

Google八分なんて目じゃない、より巧妙な「情報操作」

Googleは現在のところもっとも利用されている検索エンジンである。Googleで検索できないページは著しく影響力が落ち、事実上、ネットから抹殺されたのと等しい。ある企業を告発する内容のページがGoogleで検索できなくなったこともある。このときは、幸いに…

ジュラ紀に新人の骨

TOSS関係の小ネタ。地球上の生物が遺伝子を共有していることを教えるのはかまわないが、それ以外にも驚愕の事実をも教えている。 ■遺伝子の授業(解説つき) 発問4 あなたの遺伝子は人間として何年くらい受け継がれてきたと思いますか。 数百年から1億数千…

遺伝子からみた「いじめ」の意味

みんながだいすきなTOSSランドより、ゆうめいな村上和雄さんのはなしをしょうかいするよ。 ■遺伝子からみた「差別・いじめ」の意味(TOSSインターネットランド) 村上先生は次のような話もされました。ある実験のため、ねずみをいじめたのだそうです。い…

代替医療全選手入場

全選手入場!! 毒素を出しまくってやる!! 美容とダイエットで中年女性を狙い撃ち!デトックスだァッ!!! ハーネマン以来200年の歴史がものを言う!! 麻疹も鼻血も砂糖玉で治せッッ ホメオパシー!!! 真の誤診を知らしめたい!! O-リングテストだァ!!! 薬事法対…

kikulogにABO FANさん出現

「まん延するニセ科学」の菊池誠さんとこのコメント欄が熱い。 ■血液型と性格(kikulog) 2006年9月のエントリーだったのだけれども、今年(2007年)の5月になってABO FANさんが突入。きくちさんの辛抱強い対応に注目。ABO FANさんを説得するのは不可能である…

池田信夫氏からの反論

池田信夫氏は進化生物学を理解していない、という指摘に対して、池田信夫氏からの反論があった。同じパターンのナンセンスな話が繰り返されることになりそうな予感。 ■利他的な遺伝子(池田信夫 blog) これだけ読んでも、彼が自称する「生物学の専門家」で…

種を守る「利他的な遺伝子」

自分のよく知らない分野(たとえば私にとっては経済学)について二者が議論しているとして、どちらの言い分が正しそうなのか判別する簡易的な手段はあるだろうか。私がよくやるのが、自分がよく知っている分野(たとえば私にとっては医学、遺伝学、進化生物…