NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

獅子身中の虫

維新政党・新風という政党があります。政治的には右寄りというか、日本の政党の中では極右と言ってよいでしょう。この維新政党・新風を応援するNET連合が「新風連」です。「新風連」は大勢のブロガーによって支えられているそうなのですが、そのうちの1人が星条旗にドクロマークなどを描き、またその画像が新風連のサイトに掲載されました。現在は削除されていますが、新風連の公式見解は「大した問題じゃない」のだそうです。


■星条旗問題についての見解を表明する!(新しい風を求めてNET連合)


 以前、米国での従軍慰安婦謝罪決議に対する抗議活動において、新風連協賛ブロガー・柳生すばるさんが星条旗にドクロマークなどを描いた旗を持参して米国大使館前に赴き、また、その画像を当サイトに掲載しました。
 この件につきまして内外から様々なご意見を頂きました。新風連事務局の見解を表明致します。
 適切と言える行動ではありませんでしたが―、


「大した問題じゃない!!」

―というのが当方の見解です。
 ご指摘頂きました画像等につきましては、既に削除済みであり、これを以って問題終了と考えております。また、この星条旗問題を以って、新風連を解散すべきとも思いません。


 ただし、今回の反省点を生かして、熱烈な愛国者であり人生においても先輩である妖面さんや柳生さんらと共に、在るべき国民運動に邁進したいと考えております。

新風連 事務局


ちなみに削除された画像については、魚拓が残っています。「米国を揶揄するつもりで星条旗の上に記したナチのハーケンクロイツが、何と卍(まんじ)になっていたのはご愛嬌!!^^」なのだそうです。こうした一連の行為に対して、維新政党・新風の支持者からも否定的な声が出ています。当然のことでありましょう。さて、星条旗にドクロマークや卍(まんじ)を描いた新風連協賛ブロガー・柳生すばるさんは一体何者なのでしょうか?私は知っているような気がします。

皆様は、紫藤ムサシ先生を覚えておいでしょうか?かつて、私は、ムサシ先生による「少子化は回復する」数学的証明を批判したことがあります。この時点ではムサシ先生のことを、竹内久美子を信じちゃった単純バカと思っていましたが、それは間違っていました。先生とやり取りするうちに、先生の偉大さと真の思惑を理解するようになり、それを称えるために、■「理系保守」ブログをウォッチングするためのガイドというページを作ったぐらいです。先生は、行きすぎた保守思想を批判するためにあえて、馬鹿右翼を演じていたのです。愚かな味方は、賢い敵以上に始末におえないことを先生はよく理解していました。

残念ながら紫藤ムサシ先生のブログは今ではもうありません。しかし、先生の帰ってくるという言葉を信じて我々は待ちました。柳生すばるさんのブログ、■Empire of the Sun太陽の帝国を読んだとき、すばるさんがムサシ先生その人、もしくは先生の正統な後継者であることを私は確信しました。すばるさんの、「相対性理論:時間を絶対的に捉えられる人や見方というのはこの世には無い!その人の立場によって異なる」*1というのは、ムサシ先生の■相対性理論で政治を読むと同じですし、「外交の基本はタカ派外交だ!」*2はムサシ先生の■外交の基本は相手国の嫌がることをすることだに相当します。東京大学教授:汐見稔幸氏の少子化論のウソを「社会生物学」を用いて暴く*3ところも、ムサシ先生がすでに指摘したものです。これからは、柳生すばる先生とお呼びすることにします。

ムサシ先生は、理系の知識がある人を、保守思想に懐疑的にならざるを得ないようにしました。すばる先生はそれ以上のことを成し遂げました。すばる先生による他国の国旗を侮辱する行為がどのような結果をもたらすか、常識的な判断力のある人ならば誰もが理解できます。右寄りの思想を持つ人であればなおさらです。すばる先生のことを単純な馬鹿だと思っている人もいるかもしれませんが、そんなことはありえません。アメリカ合衆国を嫌っており、内心では星条旗を侮辱したいと思っている人であっても、そのような行為が現実世界でどうような結果を招くのか、いくら馬鹿でも理解できるでしょう。こんな簡単なことが理解できない際限ない馬鹿がこの世に存在するわけがありません。

「新風連」に自浄能力がないことまで示せました。幾人かのブロガーが「新風連」を脱退しています。すばる先生の思惑は成功したようです。極右政党の議席獲得を阻止するために努力を惜しまない「新風連」およびすばる先生を私は応援します。



−−
念のため。維新政党・新風と「新風連」は異なる団体であることを再度確認しておく。維新政党・新風の支持者の多くは、柳生すばる氏の行為および「新風連」の対応を批判している。私は維新政党・新風を支持するものではないが、ごく一部を除いた維新政党・新風の支持者たちは正しい批判を行ったと評価する。愚かな味方は始末に負えない。紫藤ムサシ氏がドーキンスを好意的に持ち出したときに私が感じたのと似た感情を、維新政党・新風の支持者も感じたのではなかろうか。

*1:URL:http://empire.cocolog-nifty.com/sun/2006/12/post_113e.html

*2:URL:http://empire.cocolog-nifty.com/sun/2006/08/post_779f.html

*3:URL:http://empire.cocolog-nifty.com/sun/2006/12/post_e8b7.html