NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

群衆の数を推定する

「教科書検定意見撤回を求める県民大会」の参加者数が議論になっている。朝日新聞では「11万人」*1。産経新聞は「4万人強」*2。よく聞く話だよな。この手の話を書いた本がたしか本棚にあったはず。 ■統計はこうしてウソをつく ジョエル・ベスト(著), 林 大 (…

ファインマンさんの手紙

■ファインマンの手紙 リチャード・ファインマン(著), ミッシェル・ファインマン(編集), 渡会圭子(訳)高校生のころ、私はご冗談でしょう、ファインマンさんから多大な影響を受けた。物理学者。ノーベル賞受賞者。それ以上に、科学を愛することを教える教師で…

ビッグバン宇宙論

■ビッグバン宇宙論 (上) ■ビッグバン宇宙論 (下) サイモン・シン著、青木薫訳の組み合わせ。■フェルマーの最終定理、■暗号解読のいずれも面白く、読む価値があった。本書も2006年6月に日本語版が出てすぐに買ったが、積読になっていたのをいまごろ読了した。…

非対称の起源

■非対称の起源(ブルーバックス) C. マクマナス(著)、大貫昌子(訳)ネットで評判の本はアマゾンで買っちゃうが、店頭で手にとって本を買う習慣もまだある。なかなか読書の時間がとれなくて積んでるだけの本も多くあるのだが、「この機会を逃すと二度と読…

医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か

■医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か小松 秀樹 (著)ずいぶん前に読み終えたのだけど、紹介するタイミングを失ってそのままになっていた。日本の医療崩壊については、医療者の間では何をいまさらという感があるが、一般の人々の間ではまだ十分に認…

メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学

■メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (新書)2007年4月初版。松永和紀著。カズノリではなくワキ。食卓の安全学―「食品報道」のウソを見破るなどの著作がある。プロフィールによれば毎日新聞社の記者として10年勤めた後に退職し、現在、フリーの科…

新型インフルエンザ

■新型インフルエンザ―世界がふるえる日(山本太郎 著) 2006年9月第一刷。最近、インフルエンザ絡みの話が話題になったこともあって読んでみた。比較的平易に書かれており読みやすく、内容も信頼できる。内容はタイトルの通り、新型インフルエンザについて。…

FSMの教典

■反・進化論講座―空飛ぶスパゲッティ・モンスターの福音書(ボビー・ヘンダーソン 著, 片岡夏実 翻訳 )見つけたときは、「ああ、またトンデモ本か…」と思い、ネタにするために手にとってみたところ、なんか裏表紙に見覚えのある「モンスター」の絵が。サブ…

祖先の物語

ふー、やっと読み終えた。ドーキンスの新刊。 上下巻で900ページ超。読み応えありまくり。しかも高い。素人にはお勧めできない。内容は、タイトルにもあるように、ヒトの(そして他のあらゆる生物の)祖先の話。だったら、これまでも似たような語はある。た…

冥王星の発見物語

冥王星が新しい定義では惑星ではなくなるというニュースが最近あった。「冥王星はパーシヴァル・ローウェルの弟子のトンボーが苦労して見つけた」というのが私の冥王星に関する知識。私の非専門分野の自然科学の知識は、多くはアシモフの科学エッセイに由来…

昆虫食がゲテモノ扱いされるのはなぜだろう?

前回のエントリーではカブトムシを捕まえたというほのぼのとした話題を扱ったのに、コメント欄ではいつの間にか虫を食べる話題になってしまっていた。ずいぶん以前に読んだ、■昆虫食はいかが? (ヴィンセント・M. ホールト著)を思い出した。「19世紀末に書…

パラサイト式血液型診断〜藤田紘一郎がトンデモさんリスト入り?

■パラサイト式血液型診断 藤田紘一郎著「血液型による性格判断にはちゃんと科学的根拠がある。偉い教授がそう書いている」と言っている人がいたので、「どこの教授だよ?竹内久美子じゃないだろうな」と突っ込んだら、東京医科歯科大学名誉教授である藤田紘…

利己的な遺伝子

■利己的な遺伝子 リチャード・ドーキンス (著), 日高 敏隆 (訳)30周年ということで、序文やらなんやら諸々ついて新装版が発売された。愛蔵版とかいって昔の漫画を再出版するのと同じ手法であるな。マニアでないなら第二版を持っている人は買う必要まったくな…

生物=生存機械論

大学生の頃は、勉強さえしていれば他の時間は何でも好きな事をして過ごせるという、まことに幸せな時代であった。時間はいくらでもあったので、かたっぱしから本を読んでいた。その本に出会ったときのことは今でも覚えている。読むべき本はないかと古本屋の…

彼、けものども、鳥ども、魚どもと語りき

■ソロモンの指環―動物行動学入門 コンラート ローレンツ (著), 日高 敏隆 (訳) 旧約聖書の述べるところにしたがえば、ソロモン王はけものや鳥や魚や地を這うものどもと語ったという。そんなことは私にだってできる。ただこの古代の王様のように、ありとあら…

数学パズル

■パズルでめぐる奇妙な数学ワールド イアン・スチュアート (著)、伊藤文英 (訳)数学パズルの本って、たいがいはどっかで見たようなパズルの寄せ集めだったりするのだけど、この本は違う。どの章もオリジナリティにあふれている。見たことがあると思っても、…

貝のミラクル

■貝のミラクル―軟体動物の最新学 奥谷喬司 編著貝類は、無脊椎動物としては身近であるにも関わらず、あまり一般書を読んだことがなかった。親父の本棚にあったのを拝借して読んでみたけど、結構面白い。18章にわけて、それぞれ貝類学の専門家が書いている。…

マラケシュの贋化石

■マラケシュの贋化石 スティーヴン・ジェイ グールド (著), 渡辺 政隆 (訳)グールドの新刊。といっても去年の11月出版だけど。いつもどおりのスタイルのエッセイ集。話がくどくて読むのに時間がかかるが、それもグールドの味。「マラケシュ」とはモロッコの…

ワトソンの書いたDNAの本

■DNA J.D.ワトソン (著), 青木薫(翻訳)ワトソンとはもちろん、DNAの二重らせん構造を発見したジェームス・ワトソンのこと。しかも、青木薫の訳であったので無条件で買っておいたのを、やっと今頃読了した。原著は2003年。献辞は「フランシス・クリックに」と…

ネットワーク科学とmixi

■複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線 マーク・ブキャナン (著), 阪本 芳久 (翻訳)アメリカの心理学者のミルグラムが行った、手紙を仲介してもらう実験は、どこかで聞いたことがあると思う。 …ミルグラムは、カンザス州とネブラスカ州の住民か…

性比の科学

■雄と雌の数をめぐる不思議 中公文庫 長谷川眞理子(著)例の理系保守とのやり取りで必要になって引っ張り出して、久しぶりに読んでみた。山形浩生は、長谷川眞理子を「生真面目で正確で好感は持てるものの、優等生的で面白みに欠ける説明」と評していた*1けど…

鼻行類 新しく発見された哺乳類の構造と生活

■鼻行類―新しく発見された哺乳類の構造と生活 ハラルト シュテュンプケ (著), Harard Stumpke (原著), 日高 敏隆 (翻訳), 羽田 節子 (翻訳) こないだからの馬鹿右翼理系保守関連で、山形浩生による竹内久美子批判(■竹内久美子:女のオヤジ)を紹介した。そ…

DNAから見た日本人

実家に「日本人はどこからきたか 新・日本人起源論の試み」(埴原和郎編、小学館)という本がある。父が買ったのであろう。1984年初版であるから、ざっと20年前だ。言語学や骨学に関する章と並んで、「集団遺伝学からみた日本人」という尾本恵市による章があ…

自由は進化する

■自由は進化する ダニエル・C・デネット (著), 山形 浩生 (翻訳) ダーウィン進化論に反対する人たちの言い分の中に、ダーウィン進化論は道徳を破壊する、というものがある。ヒトが神に似せて造られた創造物ではなく、突然変異と自然選択によって進化してきた…

生物時計の謎に挑む

■時間の分子生物学 時計と睡眠の遺伝子(講談社現代新書)粂和彦著。著者紹介には「専門は分子生物学。生物時計と睡眠のメカニズムを研究。内科医として睡眠障害の診療も行う。雑誌『Cell』『Nature』『Science』等に論文を多数発表」とある。研究も臨床もか…

指摘されないと気付かない日本語の不思議

■ダーリンの頭ン中小栗左多里 & トニ−・ラズロ 著。小栗左多里が漫画家で、トニ−・ラズロがその夫。トニ−はハンガリーとイタリアの血を受け、アメリカで教育を受けたとのこと。前作の■ダーリンは外国人では、生活する上での価値観の違いが描かれていて、こち…

利己的遺伝子はまったくのフィクションなんだって

■ヒトはなぜするのか WHY WE DO IT : Rethinking Sex and the Selfish Gene ナイルズ・エルドリッジ (著), 野中 香方子 (翻訳)まだ未読なんだけど。アマゾンによる「出版社 / 著者からの内容紹介」から引用 ドーキンスの「利己的遺伝子」はまったくのフィク…

セーガン最後の著作

■百億の星と千億の生命 カール・セーガン (著), 滋賀 陽子 (翻訳), 松田 良一 (翻訳)高校生のとき、私にとってのヒーローは、アイザック・アシモフ、リチャード・P・ファインマン、そしてカール・セーガンだった。高校の図書室で彼らの本を読みまくって、今…

ふしぎな たね

■ふしぎな たね 美しい数学 安野光雅 (著)以前、津和野の安野光雅美術館へ行ったときに買った本。安野光雅の絵本、とくに数についての絵本は大好きだ。出版元の童話屋のホームページによれば、数学者の森毅が文を書いたらしい。「ふしぎな たね」は、こんな…

3囚人問題と認知科学

■確率の理解を探る―3囚人問題とその周辺 市川 伸一 (著), 日本認知科学会 (編集)3囚人の問題を、諸君らも一度くらいは目にしたことがあるだろう。答えを聞いて、そのときは理解したようなつもりになっていても、本当に理解しているとは言えない。私も、本書…