NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

医学

肝臓癌の死亡の増加は食事のせいではない

3年前に■有害米と肝臓癌死亡数の増加は無関係というエントリーで、国立がんセンター対策情報センターから肝臓癌による死亡者の推移の図を引用した。 年令別がん死亡数の推移(男性)(国立がんセンター対策情報センターから引用) 1970年ごろから2000年ごろ…

死の淵から蘇ったのは混合診療のおかげ?

JB pressに■混合診療のおかげで私は死の淵から蘇った 日本が禁止する本当の理由〜清郷伸人氏・著者インタビューという記事が載った。日本で混合診療が原則禁止されているのは「医師会と厚生労働省の既得権益を守りたいがため」であり、激しい言葉で言えば、…

「ガンはうかつに治療するな」は本当?

ツイッターで「ガンはうかつに治療するな!」という主張が流れてきた。まあ癌の種類や病期や患者さんの状態によっては確かにそうなんだけど、例によって標準医療を否定する内容であり、うかつに信じる人がいたらヤバそうな内容であった。転載ばかりでどこが…

「過剰診療」ってどういうこと?怪文書から学ぶ医療保険のしくみ

「東京の小児科で受け取ったお知らせ」 「子供達を守ろうとするお医者さんに圧力がかかっている」として、「東京の小児科で受け取ったお知らせ」が話題になっている。■#原発 『東京での甲状腺検査に過剰診療と圧力が!』の巻 - Togetterより引用する。 小児…

日本の薬の使用量はケタ違いなのか?

なぜ日本で最大の死因がガンなのか?なぜ日本の薬の使用量はケタ違いなのか?・・・それは投資ビジネスとして仕掛けている人たちがいるから。だから薬害エイズは防げなかったし、丸山ワクチンも認可されないのです。 bit.ly/RVyfYh— tamayanさん (@tama0905)…

微量元素補充療法を勧めているサイトから相互リンク依頼が来た

「【がんの治療】を管理しているオールマイティジャパン(株)」というところから「是非とも相互リンクをお願いしたい」というメールが来た。既に先方の■がん治療のお勧めリンクというページから私のブログの■どうして日本は癌大国になってしまったのか?とい…

船瀬俊介氏「日本の平均寿命統計は捏造である。実際の平均寿命はせいぜい50〜60歳程度」

船瀬氏は「日本の平均寿命統計は捏造」と主張するが… 自称環境問題評論家の船瀬俊介氏が「日本の平均寿命統計は捏造である」と主張しています。「船瀬氏の言うことは正しいかもしれないなあ」となんとなく思っていた人でも、「日本人の実際の平均寿命は二人…

石村あさ子助産師の「奇蹟」の体験談

以前、■「非常に感染力の強い方のお産」を扱う助産師 にて、「神霊教」という宗教に入信した助産師の話を紹介した。神霊教のサイトの体験談には「E型肝炎抗原プラス(劇症肝炎)」などと書かれており、医学的には意味がよくわからなかったところがあった。…

牛乳は肝癌を抑制するか

■さまざまなリスクを比較するー「放射能のリスクを生活の中のリスクと比較する」関連図表 : Global Energy Policy Researchを見ていると、「牛乳・ヨーグルトの摂取」で肝臓癌の相対リスク 0.3 だとされていた。つまり、牛乳やヨーグルトを摂取している人は…

服に薬理作用があるから服用という?

「統合医療」という言葉には既にネガティブなイメージがつきつつあるようだ。最近、「統合医療」を教えるため新設を申請した統合医療大学院大(東京)について、大学設置・学校法人審議会が設置を認めないよう答申したというニュースがあった((■朝日新聞デジ…

国際統合医学会が「国際個別化医療学会」に名称変更していた

前回のエントリー■個人の反応が異なることはランダム化比較試験が実施できない理由にはならないでは、個別化医療だからといってランダム化比較試験(RCT)が困難というわけではないことを論じた。私のイメージする「個別化医療」は、個々のゲノムに応じて薬…

個人の反応が異なることはランダム化比較試験が実施できない理由にはならない

厚生労働省が統合医療について検討している。統合医療とは「近代西洋医学とそれ以外の伝統医学や相補・代替医療とを統合したもの」とのこと。いわゆる相補・代替医療の中にも特異的効果があるものも含まれているだろうから、その辺を評価してくれるといいな…

「非常に感染力の強い方のお産」を扱う助産師

自宅出産は医療機関で行う出産よりもリスクは高い。しかし、十分にリスクを説明された上での自宅出産の選択肢があってもいいと個人的には思う。ただし、その場合でも適切な医療介入は必要であろう。産科医から独立して助産院や自宅での出産を扱う助産師は、…

CT画像とエコー画像の区別もできないシモンチーニ氏のウェブサイト

インチキな治療法の提唱者に「なぜ論文を書いて発表しないのか?」と尋ねると、たいていは「製薬会社などの既得利益を守る集団が圧力をかけて論文掲載を阻止している」といった反論が返ってくる。安価で効果のある治療法が周知されると薬が売れなくなって困…

サードハンドスモーク ―疫学では見えないリスク―

日本における受動喫煙による超過死亡数は年間約6800人という推計がある*1。この推計は疫学的に「見える」リスクに基づいて計算されたものである。セカンドハンドスモーク(二次喫煙)のリスクは疫学的に見える。セカンドハンドスモークとは燃えている煙草の…

「集団寄与危険割合」って何?疫学指標まとめ。

疫学指標はたくさんあってややこしい。相対危険、寄与危険ぐらいまではおぼろげながら理解しているつもりだけど、「集団寄与危険割合(人口寄与危険割合)」とは何か、と聞かれてもすぐには出てこない。私がアンチョコにしているのは、「基礎から学ぶ楽しい…

日本新型ウツ病学会(松井孝嘉学会理事長)が提唱する「頸筋症うつ」とは?

「新型うつ病」は精神病ではなく、首が原因で治せると主張する「日本新型ウツ病学会」が発足されたとのニュースがあった。いまのところ、報じているのはJ-CASTニュースのみ。 ■「新型うつ病」は首に原因とする学会発足 雅子さまも? 治療で治せる : J-CASTニ…

丸山ワクチンをおとしめる週刊ポストの記事

週刊ポストにて丸山ワクチンの記事が載っていた。第一弾は、長期生存例があることから丸山ワクチンに効果があるとほのめかしている記事であった。問題がないとは言えないが、標準医療を否定しないことが明記されており、週刊誌の記事としては許容範囲内であ…

標準医療をしなかった医師が提訴された

2011年12月22日付の西日本新聞朝刊に、医師に対して遺族が損害賠償を求め、提訴したという記事が載った。報道が正確だとすれば、訴えられた医師は代替医療を行っていた。 「がん有効治療せず」提訴 死亡女性遺族 医師に賠償求め 2011年12月22日付の西日本新…

日本医師会が混合診療解禁に反対する理由

■混合診療のメリットとデメリットというエントリーに対し、「日本医師会はなぜ混合診療に反対しているのか」という質問が寄せられた。日本医師会の公的なコメントは、■混合診療ってなに?〜混合診療の意味するものと危険性〜などで読める。この主張を、利権…

混合診療のメリットとデメリット

最近、TPP関連で混合診療がよく話題にあがる。混合診療の問題は複雑である。「混合診療に反対している連中は既得権益を守っているだけ。がん難民のためにも今すぐ混合診療は全面解禁するべき」という意見も、「混合診療を解禁してしまうと、マイケル・ムーア…

免疫細胞療法を行っている会社のブログがすごかった

なかなかユニークな主張を行うブログを発見したので紹介したい。まずは、インフルエンザ予防に手洗いは感染防止に役に立たないどころか、逆効果という主張。 ■がん治療と免疫 : 抗ウイルス学会に参加して - livedoor Blog(ブログ)*1 うがい、手洗い、も根…

由井寅子氏による「予防接種をした人の抗体価は高い」という主張は正しいか?

■やる夫が予防接種の害について主張したいようですの続き。 ____ / \ /\ キリッ / (ー) (ー)\ はしかに自然に罹った人の抗体価は低い。 / ⌒(__人__)⌒ \ 逆に予防接種をした人の抗体価は高い。 | |r┬-| | 予防接種によって達成される「予防」と…

B型肝炎訴訟はたかりではない

「幼児期の予防接種によってB型肝炎に感染したとするB型肝炎訴訟は国に対するたかりである」という主張を見付けた。2ちゃんねるかネット右翼あたりの妄言であろうと最初は思ったが、実名でそのような主張をしている人もいた。高山正之氏という人物で、Wikip…

今回報道された急性白血病と福島原発作業の因果関係は?

福島第1原発作業員が白血病によって死亡したというニュースがありました。まず、亡くなった作業員の方に哀悼の意を表します。 ■急性白血病:福島第1原発作業員が死亡 東電が発表 - 毎日jp(毎日新聞) 東京電力は30日、福島第1原発で作業に携わっていた…

誰が遺族の背中を押したのか?医療ミスで東芝病院を刑事告訴

医療ミスによって家族が死亡したとして、遺族が病院を刑事告訴したというニュース。 ■「医療ミスで次男が死亡」 政治評論家の本澤二郎さんが東芝病院を刑事告訴 - MSN産経ニュース 告訴状などによると、死亡したのは本澤さんの次男の正文さん=当時(40)…

放射線被ばくで集患を

もしあなたが関東近辺の開業医で、クリニックがつぶれそうになっていたら、放射線被ばくとさまざまな症状を積極的に結びつけるとよい結果を産むかもしれない。鼻血や下痢などの症状が低線量の放射線被ばくで起きることは医学的には考えにくく、医師としての…

自己責任論を隠れ蓑にした現代医学否定

日本のホメオパシー団体は複数ある。ビタミンK不投与事件を起こしたのは、日本ホメオパシー医学協会の認定ホメオパスである。日本ホメオパシー医学協会とは別に日本ホメオパシー振興会という団体もある。事件を起こした医学協会とは違うことを示したい気持ち…

ハーネマンアカデミー学長の永松昌泰氏は断薬の危険性について十分に説明しているのか?

日本ホメオパシー医学協会のホメオパスでもある助産師が、新生児に対しビタミンKシロップを与えず、新生児がビタミンK欠乏性出血症によって死亡した「ビタミンK不投与事件」はいまだ記憶に新しい。日本ホメオパシー医学協会以外にも、ホメオパシー団体はい…

ビタミンC点滴とがんについて面白いサイト

たまったストレスを発散させたくてネットをあちこち覗いていたらビタミンC点滴とがんについて面白いサイトを見つけた。 たまったストレスを発散させたくてネットをあちこち覗いていたら ビタミンC点滴とがんについて面白いサイトを見つけました。 どっかで見…