NATROMのブログ

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低出生体重児に対するBCG接種は非特異的な利益をもたらす?

ぼんやりPubmedをみてたら見つけた。

■Randomized trial of BCG vaccination at birth to... [J Infect Dis. 2011] - PubMed - NCBI

これまでの観察研究はBCGが生存に関して非特異的な利益を示唆していたのだと。つまり「結核による死亡を減らします」とかではなく「死亡を減らします。全体的にねー」って感じなのか。へえ。ただ、どう見ても先進国の話ではない。Guinea-Bissauという西アフリカの国の話。なんとRCT。BCG at birth (early BCG) vs delayed BCG(出生直後BCG対ゆっくりBCG)。n=2320。

対象の乳児死亡率は1000人あたり101例。低出生体重児とは言え、けっこう亡くなるが、それでも介入以前は250例/1000人であったという。乳児死亡率はearly BCG群で17%減少したが有意ではなかった。mortality rate ratioで0.83 (95% C.I. 0.63-1.08)。ただし、子供の体重が1.5 kg以下でDTPワクチン接種率の低い群に限れば、0.43(0.21-0.85)と有意に低かった。

NATROMの感想。ブラインド条件下ではなかったが、アウトカムが死亡という明確なものであるので大きく影響はしないものと思われる。体重1.5 kg以下の解析はおそらく後付けの解析であるであまり重視するべきではなかろう。ただ、どうせBCGを接種するなら(他の研究がない限り)早めに接種したほうがよろしかろうと思われる。