2012年のAm J Transplant。万波先生たち。
■Restored renal transplants from donors with ... [Am J Transplant. 2012] - PubMed - NCBI
現時点での「修復腎移植」の候補は小径腎細胞がんである。それ以外に下部尿管癌(移行上皮癌)*1も移植源になるのではないかという話。
8例の手術を行って、レシピエントの死亡が3例。うち2例ががんとは無関係の死因。以前の報告では一例が脳梗塞、もう一例が不明であった。不明であったのが、後の調査で「がんとは無関係」と判明したということであろうか。
死亡3例中の1例は、移植の15ヶ月後に局所再発があり部分切除した。この2度目の手術の3年後に死亡したが、死因は肝転移を伴う原発性肺癌と推定された。なぜ推定なのかというと、病理解剖をしていないから。以前の報告では「原発性肺癌(SCC)」と断定的に書いていたが、今回はより正確な記載になっている模様。報道によれば難波紘二氏は「局所再発があった一例も、死因とは無関係だったことが明らかになった」*2としているが、病理解剖もなしに「死因とは無関係」とは言えない。
以上、再発率は8分の1で12.5%。レシピエントの生存率は1年、3年、5年、10年でそれぞれ100%、100%、75%、60%。再発した一例も進行度pT3であり、他の7例はstage pT2か、それより早期であるので、T2かそれより早期の移行上皮癌であれば移植腎として使えるかもしれない。ということらしい。
それはそれで、きちんと手続きに則って検証していただければいいと思う。