NATROMのブログ

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家庭での火の使用は肺癌のリスクになる

能動喫煙は肺癌のリスクである。受動喫煙も、リスクとしては大きくないが、やはり肺癌のリスクになる。以前、蚊取り線香も肺癌のリスクであるという論文を紹介した。要するに煙は肺癌のリスクということであろう。今回、中国において暖房もしくは調理に関連した家庭内の石炭の燃焼が肺癌に関係するという論文を読んだ。


■Household coal use and lung cancer: systemat... [Int J Epidemiol. 2011] - PubMed - NCBI


25のケースコントロール研究のメタアナリシス。ケースが10142人、コントロールが13416人。まあ予想通り、石炭燃焼は肺癌のリスクとなる。OR 2.15 (95% C.I. 1.61-2.89)とあるから、能動喫煙よりはリスクは小さいが、受動喫煙よりは大きい。


石炭だからリスクがあるというわけでもない。以前、喫煙と死産もしくは流産との関係を調べていたときに、インドあたりの研究で、喫煙のほかに家庭内での火の使用(料理の際のバイオ燃料)について述べられていた。地域によっては、家庭内での火の使用が健康リスクとして認知されているのであろう。


■Cooking smoke and tobacco smoke as ... [Int J Environ Health Res. 2005] - PubMed - NCBI


"Cooking oil vapor" (調理用油)もリスクになるとのこと。料理人とかか?