NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

牛乳と癌のメモ

■Dairy Foods, Calcium, and Colorectal Cancer: A Pooled Analysis of 10 Cohort Studies

10のコホート研究のメタアナリシス。カルシウムおよび牛乳の摂取は低い大腸癌のリスクと関連する。牛乳の消費量の最も少ないグループ(<70 g/day)を対照とした相対危険度は、70–174, 175–249, and ≥250 g/dayの群でそれぞれ0.94 (95% CI = 0.86 to 1.02), 0.88 (95% CI = 0.81 to 0.96), and 0.85 (95% CI = 0.78 to 0.94)。

量反応関係はありそう。交絡要因が十分に除外されているかどうかはわからない。過去の疫学研究では、牛乳と大腸癌について統計的に有意ではない、あるいは、弱い相関関係あり(牛乳摂取で大腸癌になりやすい)とのこと。



■Childhood dairy intake and adult cancer risk: 65-y follow-up of the Boyd Orr cohort

4999人のイギリス人小児のコホート研究。小児期の高い乳製品摂取は、肉、果物、野菜の摂取量や社会経済的因子と独立して、大腸癌と関連する。相対危険度2.90 (95% CI: 1.26〜6.65)。(乳製品ではなく)牛乳の摂取でも似たような傾向。

1930年代からのコホート研究。これはすごい。小児には牛乳は飲ませ過ぎないほうがいいのかもしれないが、これも交絡要因があるのかもしれない。


■Dairy consumption and risk of breast cancer: a meta-analysis of prospective cohort studies. - PubMed - NCBI

18のコホート研究のメタアナリシス。乳製品の摂取量が低いグループに対して最も摂取しているグループの乳がんの相対リスクは0.85 (95% confidence interval: 0.76-0.95)。牛乳については、0.91 (95% confidence interval: 0.80-1.02)。

乳癌と牛乳は、関連していたとしても、小さな影響しかないってことだろう。