NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

トーマスとヘンリーの恋の謎

びじうさんが、トーマスのおもちゃについての謎を提起されていた。 ■トーマスの玩具が地味に凄い件(びじうのログ) ご多分に漏れず、うちの息子もトーマスの玩具で遊ぶようになりました。しかし、1歳児が遊んでいるこの玩具が驚くべき機能を持っていて、悔…

ホタテパウダーで残留農薬除去実験

ニセ科学を見抜く練習問題シリーズ。円山花参道のサイト*1によると、ホタテパウダーとは、「北海道のホタテ貝殻粉末を使用した天然素材で、抗菌性や調湿性に優れ消臭効果も発揮するナチュラルペイント」であるそうだ。「シックハウス症候群・化学物質敏感症…

衛生仮説〜不潔な環境がアレルギー性疾患を予防する

先進諸国において、気管支喘息や花粉症などのアレルギー性疾患が増えているのは、まぎれもない事実である。アレルギー疾患の発症そのものに遺伝的な要因が関与しているのは確かだが、疾患の「増加」については、遺伝では説明できない。複合的な環境要因が関…

職人気質な医師

医師の「職人」的な部分は、もうちょっと注目されてもよかったと思う。自分の持つ技術に誇りを持ち、金銭的な報酬よりも誇りが優先する。私が想定している「職人」の典型は、「釣りキチ三平」の登場人物である、三平一平である。一平じいさんは、和竿職人の…

"hikikomori"の医学論文

■引きこもり、イタリアで急増…「昼は寝て、夜に冷蔵庫をあさり、インターネットと漫画だけの生活」 経由で、イタリアの有力紙に「イタリアの引きこもり(hikikomori)、東京のよう、何年も孤立する少年たち」という記事が載ったことを知った。海外…

香水の自粛のお願いに化学物質過敏症を持ち出さないほうがいい

化学物質過敏症は、ごく微量の「化学物質」の曝露により様々な健康障害が引き起こされるとする疾患概念である。朝日新聞が、学校での授業参観の際に、化学物質過敏症の子に配慮して香水を控えてもらう動きについて伝えている。 ■「授業参観、香水控えて」 学…

頚性神経筋症候群(Cervical Neuro Muscular Syndrome)

■医療とは病気を治すアイデア商品である!*1(IGC健康情報)というサイトを通じて、頚性神経筋症候群(CNMS:Cervical Neuro Muscular Syndrome)という耳慣れない病名を知った。このサイトの主張を要約すると、 頭痛と吐き気、めまいなどの症状のため病院に…

健康保険証の裏がドナーカードになっていた

私は昔から脳死移植について賛成であり、ドナーカードも持ってたが、ずっと持ち歩いていたのでボロボロになっていた。 臓器提供意思表示カード 書き直したほうがいいかな、と思いつつ、面倒くさくてそのままになっていた。最近、健康保険被保険者証の裏に臓…

臓器売買は容認できるか

■なぜ臓器が足りないのか? そのとき何がおこるのか?(地下生活者の手遊び)にインスパイアされて、臓器売買について考えてみた。現在の日本において、臓器売買は禁止されている。しかし、臓器売買を明確な悪だと断ずることは難しい。以下のような状況を考…

月刊索引

私が医師になったのは、パソコンがだいぶ普及しており、手書きの退院サマリーがかなり珍しくなっていた頃。文献検索も、(私の記憶が確かなら)オンラインではなかったものの、CD-ROMに入ったデータベースで検索していた。コンピュータがなかったころはどう…

オーリングテストが明らかにした身体に悪いものリスト

オーリングテスト(バイ・ディジタルO−リングテスト)をご存知だろうか。親指と人差し指をくっつけて"O"の形にし、その筋力の強弱で診断や薬の選択を行う謎の技術である。「日本バイ・ディジタル オーリングテスト協会」のページ*1から引用しよう。 バイ・…

同意書をとったことにした豪腕・万波病腎移植

宇和島徳洲会病院の万波誠医師が行った病腎移植の問題の一つに、文書化されたインフォームドコンセントを取ったか否かという点がある。ヒトを対象とする医学研究に関わる医師に対する指針を示す倫理的原則であるヘルシンキ宣言には、「医師は対象者の自由意…

喘息に対するステロイド治療を否定するホメオパシー

科学的根拠の乏しい代替療法であっても、安価で安全でさえあれば、感冒などの自然治癒する病気や、逆に末期癌のような積極的な治療手段のない病気に(緩和ケアと併用しつつ)使用するのは、私は必ずしも否定しない。しかし、他の有効な治療法の妨げになるよ…