NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

2004-10-09から1日間の記事一覧

トンデモに騙されないために

この調子で指摘していくと、いくら時間があっても足りない。牧野の議論は基本的には無知に基づいたもので、まともな考察に値しない。事実、進化生物学者で牧野を論じている人は、私の知る限りいない。不幸は、進化生物学について不案内であるがゆえに、牧野…

”複合形質”の問題

牧野は、個体数が十分であれば100億分の1の確率でも有利な突然変異は起こるのではないかという想定された反論に対して、こう答えている。 生命というのは複雑精緻なシステムであるから、そこで起こった単独変異は、ほとんどシステムの攪乱であり、故障でし…

分子進化の中立説

木村資生が提唱した分子進化の中立説は、広く認められて、進化生物学の重要な一分野を占めている。現在の進化生物学を批判するためには、当然のことながら、中立説の知識が不可欠であろう。牧野は中立説をどう記述しているだろうか。 結局のところ、中立説は…

変異のランダム性

遺伝的変異の起源について、牧野は「ランダム変異説」と「体系的変異説」を対比させる。 まず最初に、遺伝的な変異がランダムに起こるというのだったら、それらは、結果的にそれが有利になるケースばかりでなく、著しく不利になったり、あるいは無益だったり…

「ダーウィンよ さようなら」

自然科学が成功した理由の一つに、相互評価がある。新しい仮説を提唱したときには、手段・方法・対象を明確にして、第三者が検証できるようにしなければならない。また、その仮説がこれまでの知見に矛盾しないか、矛盾するならばどのようにその矛盾が説明さ…