NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

終末期患者を実験台にする非道医師

昨日の記事に関連して。


■湘南のJOHN LENNONの独り言


 今日の読売新聞の記事で気になったことがあった。記事の内容では、終末期患者「延命施さず」病院の56%となっている。恐らく真実に近い数字だろう。小生の身内や知り合いに医療関係者が何名かいるが、以前からこの件で聞いていることがある。
 無理な「延命施さず」というのは、医師としてよりは、人間として普通に思うのではないだろうか?小生は医者ではないので、医者の心理や仕事への向上心等は想像もつかない。しかし、一部か半数かどうかは知らないが、「無理な延命」を行うこともあるようだ。
 そのようなケースというのは、言わば患者が医師の実験台となってしまうのだ。地位のある医師が、新しい医療法や既成の医療法の効果を試すために、看護士や部下である他の医師の意見を無視して、患者が苦しんでいるのに、延命という名の下に治療方法と称した実験紛いなことを行うのだ。


わあ、患者が苦しんでいるのに実験紛いのことを行なうなんて酷い医師だね。でも、終末期の患者に対して、いったいどのような実験的治療を行うのだろうか。そもそも、実験的であろうとも治療の選択肢がある段階では「終末期」とは言わないような。終末期の延命治療と言えば、昇圧剤や人工呼吸管理や心臓マッサージなどの、手技としては一般的なもので、患者を苦しませてまでやりたい実験的治療ではない。研修医ならともかく。

といういわけで、「医師もいろいろいますので、中には実験的な治療を行う医師ももしかしたらいるかもしれませんが、『終末期』の患者さんに実験的治療を行なう医師はいないと思います」とコメントした。すると、「複数の医師、看護師から聞いたので事実である」とのお返事。「非医療従事者の方が、医師の言うことを聞いても、誤解してしまうことは多々あります。よろしければ、医師の実験台となった患者が受けた治療内容を具体的に教えてください。手術ですか?抗がん剤治療ですか?」と書いたところ、お返事がないどころか、コメント欄がすべて削除されていた。もしかしたら、「関係者から聞いたというのはデッチアゲのため、具体的な治療内容は答えられないという可能性もゼロではないと思っています」と書いたのが図星 余計だったのだろうか。