NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

わかっちゃう人たち

化学物質過敏症について熱心な人たちは、波動であるとか、EM菌であるとか、オーリングテストだとか、まあそういったものと親和性がある。たとえば、

■波動を語らずして、化学物質過敏症は治らず((元URL:[]http://blog.livedoor.jp/hanasando/archives/21108232.html[]))(非常識?な建築会社、***のここだけの話)


波動を語らずして、化学物質過敏症は治らずなんですよ。さて、このブログを書いた人は建築会社の人のようだ。お客さんは化学物質過敏症の女性で、よその工務店でシックハウス対策としてオール電化等を行なっても女性の具合は良くならない。で、この建築会社の見立ては、

 奥さん典型的な電磁波・波動過敏症になってしまったようで、***にあるローズクオーツと水晶、アズライトをにぎらせてみると、

 「このブルーの石(アズライト)が気持ちいいわ。」

 どうやら黒い色がダメなようで、床下に備長炭を入れて、壁に木炭シートと炭の塗料を塗ってからいちだんと状態が悪くなったよう。

 ご主人「業者さんが、ニオイがしないので玄関に黒の御影石を敷いたらいいといって、用意したんです。」
 わたし「黒はやめましょう。」
 奥さん「そうでしょ!わたしなんかいやだったの。」

電磁波過敏症はともかくとして、波動過敏症というのは初めて聞いた。黒い色がダメって言っても、床下の備長炭も良くないようだから、視覚的なものではないのだろう。黒い色のものが何か「波動」を出していて、そいつに感受性があると解釈できる。臨床環境医学もびっくりの超科学である。他のページ*1では、


また、***には名づけて『波動グッズコーナー』というあやしいブースがありまして、

過敏症用のマスクとか無添加石鹸などの販売コーナーがあるのですが、ほかにも
遠州月華波動竹炭やEM・など、不思議な作用で元気になるグッズがあります。
中には、

「ここだけの話なんだけど、実はわたし分かっちゃう人なのよ。」

という奥様までいらっしゃいます。
何がわかるのかって?・・・わからない人は幸せかも?!波動過敏症っていうんですよ。
(私が勝手に名づけました)

わかっちゃう人なんだから仕方がない。わからない私はとっても幸せだ。「波動」対策によって、実際に良くなっちゃう「化学物質過敏症」の人がいるってことは、「化学物質過敏症」の真の原因について何がしかの示唆を与えてくれるよね。その示唆が正しいとしたら、「化学物質過敏症」の治療として、大金かけてリフォームしたり、高価な保険外診療を受けたりする前に、波動グッズや黒豆などの安価な対策を講じるのもよいかもしれないよね。


*1:URL:http://www.hanasando.e-arc.jp/doki.htm