■不定愁訴のABC Christopher Burton (著), 竹本 毅 (翻訳)
臨床医向け。原著者はイギリス人。「不定愁訴」は原著では"Medically Unexplained Symptoms(医学的に説明できない症状)"。若干ニュアンスが異なるが、これ以上の良い訳は思いつかない。
重大な疾患の除外、診察法(「患者に耳を傾ける」とか)、専門医に紹介するタイミング(イギリスの事例なので日本の現状とは合わない)、治療法(認知行動療法や各種薬物)について書かれている。即座に臨床に役に立つという本ではない。しかし、読む価値はあった。
訳者の注が大変参考になる。前書きを読む限りでは、「東洋医学」に親和性のある方らしい。「不定愁訴:Medically Unexplained Symptoms」に対して、東洋医学的なアプローチが役に立つこともあるだろう。
化学物質過敏症に関する情報を得られるのではないかと期待したが、慢性ライム病などと同様に「議論のある病態」として除外されている(18章)。