UpToDateの記載*1経由。
■Thyroid nodularity in children. [JAMA. 1975] - PubMed - NCBI Rallison MLほか。
フルテキストにアクセスできないのでサマリーだけ読んだ。
1975年アメリカ合衆国。放射性降下物からの曝露の影響を調べるのが目的のようだ。
対象はユタ、ネバダ、アリゾナの児童5179人。うち、甲状腺の"nodularity"は、98人(1.8%)に見つかった。98人中、"adolescent goiter"(思春期甲状腺腫)が34人、"thyroiditis"(甲状腺腫)が31人。"malignant neoplasms"(悪性新生物)は2人。
ここからが私の解釈。サマリーには詳細な記載がないが、2名の悪性新生物は普通に考えれば甲状腺がんだろう*2。5179人中2人なので、10万人対にすると約40人。これは有病割合に相当する。米国児童の甲状腺がんの罹患率は細かくは知らないが、たぶん、10万人対約40人という数字は罹患率と単純比較すると相当に大きいと思う。本文に何か考察されているかもしれない。
福島県の甲状腺がんスクリーニングでは、現時点(2014年6月16日)では約37万人中50名ということだから、10万人対13人〜14人というところ。これも有病割合に相当する数字。もちろん、既知の罹患率と比較すれば相当に大きく、議論の種になっていることはご承知の通り。
条件が違いすぎて、1975年のアメリカ合衆国の研究との比較は、参考程度にしかならない。私の個人的な意見を述べさせてもらうと、「1975年はおそらくはエコー機器などはなかっただろうから、小さな甲状腺がんは見落とされていたであろう。にも関わらず、2人/5179人もの甲状腺がんが見つかったのだから、スクリーニングすると見つかるものなんだねえ」と思った。
なお、"nodularity"は、甲状腺小結節よりも広い概念(goiterやthyroiditisを含む)である模様。「結節形成」と訳されていることが多いようだけど、それではニュアンスが伝わらない。