NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

この俺が日本に行ったとき奴らから面白いことを学んだ。病床利用率のコントロールだ。

前回の記事に「病床利用率たったの5%か…、ゴミめ」とか、「ば、馬鹿な…病床利用率がどんどん上がっていく…90…95…100…」とかいうセルフブクマをつけようと思ったけど自重した。それはそれとして、id:rev-9さんのブクマコメにお返事。



rev-9 アホみたいな疑問かもしれませんが、100%オーバーって、「一ベッドに二人」か「ベッドのないところに患者さん」か、どっちかの現象が一時的に起きてるってことですか?


午前中に退院した人のベッドに午後に別の人を入院させると、その日に限り「一ベッドに二人」という計算になったはず。極端な話として、1床しかない医療機関に、1泊2日入院の患者さんを途切れなく入院させ続けてベッドを回転させると、病床利用率は200%となる。けれども、「午前退院・午後入院」ってのは激しく忙しくなるから、病棟の看護師さんから文句が出る。素人にはお勧めできない。

単純に病床利用率を維持しようとすれば、退院できそうな患者さんでも、次の入院患者さんが入るまで入院を引き延ばせばいい。しかしこれだと、平均在院日数が延びてしまう(病床利用率とともに、平均在院日数にも目標があった)。あんまり長いこと入院させておくと経営上ペナルティがある。無駄な長期入院を減らすインセンティブになるからそれは仕方ないんだけど、赤字を避けようとすると、短期入院を増やしてベッドをグルグル回転させろということになる。入退院にともなって業務が増えるから、現場は忙しくなるけどね。