陶芸家兼イラストレーターの人がやっている言戯(ことざれ)というブログがある。結婚や出産、育児などの日々の生活を4コマかイラストで描いている。普段は日常生活がネタなのだが、今回は奈良県の「たらい回し」死産事件について書いている。
■たらい回し報道と産む責任(言戯)
ぜひ、リンク先のイラストを見て欲しい。報道の暴力性というものがよく表されている。まさしく、叩かれている産科医はこんな気持ちであろう。医療者がいくら言葉を重ねても伝えられないものが、このイラストでは伝わるような気がする。偉大なり絵の力*1。第三者による表現であるのも大きい。医療者が似たような絵を描いて訴えたとしても、あざとく見えるか、自虐的になるかだ。
今回の事件では、特に妊娠経験のある女性やその家族には、医療機関側の対応は仕方がなかったことだと理解してもらえているようだ。「また義務忘れた医師たち」とか、「『医は仁術』はどこへ」 とか、周回遅れの社説を書く新聞社などよりもずっとわかっている。医師だけが声を上げても無視されがちなので、是非とも医療を受ける側からも声を上げてほしい。
*1:強いて言えば妊婦の表情が問題かな。この妊婦さんは、無知だったかもしれないが、悪意をもっていたわけではなかったから。妊婦が爆弾を抱えているのはまさしくその通り。産科医なのに眼帯鏡額帯鏡をしているのは「医師の記号」であるからして仕方ない。[眼帯鏡でなくて額帯鏡でした。ブクマで指摘されました]