id:DrPoohさんのところで、病院の残業代請求訴訟に関連して、勤務医のタイムカードの話題が出た。
医師にタイムカードが採用されている病院は聞いたことがなく,大抵は残業は自己申告だと思うのですが,残業簿と実態が異なるというのは単純に残業したことを医師が申告していないか,申告しても病院側が残業として認めなかったのかのいずれかでしょうか。
physicianさんのコメントにもあるように、タイムカードを採用している病院もあることはあるが、普通の業種と比較したら少ないのではないか。看護師などのコメディカルはタイムカードが採用されている一方で、医師だけはなぜかタイムカードがないという病院や、非常勤医師はタイムカードがあるけど常勤医にはタイムカードがないという病院もある。
常勤医にもタイムカードを採用している病院で働いたこともあるが、時間外手当の請求は自己申告で、所定の書類に書き込む。それほど忙しい病院ではなく、時間外手当の額も少ないので*1、面倒くさくて書かないことも多かった。緊急で呼び出されたときはタイムカードを押すのをよく忘れるし、そもそも泊り込みのときは押さない。インチキしようと思えば、帰宅時にタイムカードを押さず、翌日の出勤時にも押さずにおいて、さも泊り込みで働いたかのように自己申告すればいい。どちらかというと、タイムカードは勤務時間のチェックではなく、遅刻予防のためにあったように思える。
たいそう忙しい某病院にはタイムカードはなかった。きちんと記録をとったら労働基準法違反が丸わかりだからという邪推もできるが、それよりもそもそも医師の勤務形態にはタイムカードは合わないというのがあるのだろう。同じ泊り込みといっても、一晩中バタバタと働いていることもあれば、「心拍数が30以下になったら起こして」と看護師に指示して寝ていたりすることもあるわけで。後者の場合、勤務時間としては申告するのは、「家族に説明して、時々様子を見て、看取って、死亡診断書を書いて、お見送りをした。合わせて2時間くらいか」と、こんな感じ。とてもアバウト。
この辺のところ、他業種ではどうなのかを知りたいところである。サービス残業をさせられるところでは、所定の時間になったら、仕事が終わっていなくてもタイムカードを押すなどと聞く。他業種でも、時間外手当の請求は自己申告なのだろうか?おそらく、ケースバイケースなのだろうが、タイムカード集計ソフトなどもあるようで、こんなんで忙しい病院の勤務医の時間外手当を機械的に計算すればすごいことになるだろうな。
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*1:今にして思えば申告通りの時間で計算されていなかったのではないか