NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

お前が言うな

ネットでフラフラしていたら見つけたサイト。

■医師の立場を理解する ストレスを抱える医師たち

おー、いいこと言ってるじゃないか。とくにこのへん。


また,要求の多い患者がいます。緊急ではないのに夜間や週末に電話をかけてきたり,医師が勧めていない治療を求めたりするのです。医師を信用しない患者がいます。ある人は自分の症状についてインターネットなどで有用な情報を調べます。その情報が役立つ場合もありますが,そのような調査をしたために,診察する医師への信頼を失うこともあります。医師には,そのような調査で見つかったすべての情報の是非を論じるだけの時間がないかもしれません。

宗教上の理由で特定の治療を拒否したり、それに代わる代替的な治療を求めるような患者は確かに医師のストレスになるねえ。容認される治療が医学的に見てあいまいなのもストレスになる。たとえば、血小板輸血はNG。新鮮凍結血漿もNG。凝固因子製剤やアルブミン製剤はOK。貯血した上での自己血輸血はNG。セルセーバーはOK。わけわかんねえ。でも、まあそれはいいよ。患者は情報を与えられた上で自己決定権を持つ。問題は、その宗教がインターネットなどで出している「有用な情報」とやらが、多くの場合デタラメなことなんだけど。

この患者は正しく情報を与えられている上で、信仰心に基づいて治療を拒否しているのか?それとも、正しい情報を与えれば治療に同意するのか?救急の現場や、術中の予想外の出血のときにこのような判断を行わねばならないのは相当なストレスになる。

さらに、未成年が患者の場合はどうか。保護者の意向はどこまで尊重するべきか?それとも、命の危険がある場合は医師の判断で治療を行ってよいのか?片親だけが信者の場合は?両親が信者で、祖父母が「孫を殺したら訴えるぞ」などと息巻いている場合は?教会の偉い人が押しかけてきたら、忙しい時間を割いて説明を聞かないといけないのか。

ただの「要求の多い患者」以上にストレスになるんですけれども。