NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

アドレナリンを求める人々

アドレナリンは、「暴力ホルモン」「攻撃ホルモン」とか言われ、子どもがキレル原因物質として非難されている(参考:■アドレナリン キレルでGoogle検索)。その一方で、積極的に摂取したいと思っている方々もいるようで。人力検索サイトはてなの質問より。


副作用がどうとか器の小さいことは言いません、アドレナリンとノルアドレナリンを摂取したくらなるべく強力なものを購入したいです
http://www.hatena.ne.jp/1108805753

いったい何でまたアドレナリンを摂取したいのかというと、「仕事場に行くのがしんどい」ためとのこと。島本和彦のマンガを読むとか、ロッキーのテーマを聴くとかでは駄目なのだろうか。答えもイロイロあって面白い。医療従事者がまず考えるのはボスミン(エピネフリン注射薬の商品名)だろうが、「なかなかハードルが高いですね」とのお答え。まあ、一般の人は入手困難であろう。普通は、こんなもん処方されないだろうし。実はアドレナリン注射薬を処方してもらう方法はないこともないのだが、さすがに答えの中にそうしたものはない。だいたい、アドレナリンを注射したところで、一時的に血圧と脈拍が上がるくらいで、仕事場に行くしんどさを軽快させる力はなかろう。害だけあって、益はない。

イロイロある答えの中に、カプサイシンがあった。「脂肪燃焼を促すホルモン・アドレナリンを分泌させる最もメジャーなダイエットサプリメント」らしい。仕事へ行くしんどさを改善させる効果があるかどうかはわからないけれども、まあアドレナリン注射よりかはマシかもしれない。しかし、カプサイシンがいいんだったら、インスリンもいいのか?低血糖を起こさせると、カウンターホルモンとしてアドレナリンは分泌されるぞ。確か、マスターキートンでそのネタやっていた。いやいや、いっそのこと砂糖をなめるというのはどうか。砂糖はアドレナリンの過剰分泌を促して子どもがキレル原因になるのだそうで。

他にはその名も■アドレナル*1という栄養補助食品もある。なかなかスゴイ。


ストレスが貯まると副腎への負担が大きくアドレナリンの生産に問題が起きてくるといいます。
アドレナリンを補給してパワー全開でいきましょう。

この商品のスゴイところは、1粒中に、「●全副腎 150 mg●副腎皮質 80 mg」が入っているところ。副腎皮質入っちゃいかんだろ。売っていいのかこれ。ステロイドだぞ。

*1:URL:http://www.melax.net/new/shop/PEAR6.shtml