NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

黒豆が電磁波から身体を守る

■Web Shop はじめのいっぽ(アレルギー対応食品&用品取扱店)の掲示板*1より


うみひこです
 河野先生の病院に行っている、インフルエンザ脳症から自閉症になった母親からある情報をもらいました。
(1)電子レンジで加熱すると食物アレルギーを起していた食物を食べることができる
 レンジのマイクロ波が分子構造を変えて抗体反応が起きなくなるようです。その方によると1週間2週間と食べ続けると食べれなくなることがあるそうです。これは分子構造が変わると言っても大幅な変化ではなく元に近い構造なため、交叉反応によるものと考えられます。それにしても驚異的なことです。食べられる範囲が広がります。
(2)黒豆が電磁波から身体を守る
眉唾のようですが本当らしいです。安い方法なので試してみる価値がありそうです。
この、うみひこ氏は、臨床環境医学がQuackery(インチキ医学)と強い結びつきがあることを私に教えてくれた人だ。河野先生ってのは、多分、この人。電子レンジとアレルギーの関係も興味深いけれども、今回とりあげるのは、黒豆と電磁波の話。以下は、うみひこ氏が「当事者の方からの詳しい説明」を紹介した部分からの引用。


次に黒豆の話ですが、電磁波を防ぐものとしてはいろいろとあるようですね。辻案全食品では1万円ほどするセラミックボールを販売しているらしいのですが、河野先生は黒豆のほうが効果があるとおっしゃっていました。オーリングの認定医の福岡歯科の福岡明先生は、トルマリンシートが良いとおっしゃっていました。それも8000円ほどします。
セラミックボールとか、オーリングとか、トルマリンシートとかいうのがキーワードだね。辻安全食品のサイトに行ったら、セラミック関連商品は「“水の分子クラスターを変えることでアレルギー反応を始め、有害な生体反応を抑える”という仮説に基づき開発。」という説明がついていた。「ボール セラミック」は5個入りで1575円だった。黒豆もそうだけど、このくらいの値段ならまだ許せるが、トルマリンシート8000円はちょっと高い。


息子は電磁波を感じるタイプで、豆を両方のポケットに入れておくと、感じなくなったといっていました。我が家では、TVや電子レンジ等の家電の上には5〜6個の豆を袋に入れておいてあります。息子は掃除機を使うと赤ちゃんのように掃除機に抱き着いていたのですが、黒豆をポケットにいれると抱き着く事はしなくなりました。
同様に外出時にコンビニやファーストフードのお店に吸い込まれるように入って行ったり、レジに吸い寄せられるように近付いて行ったりしていたのが、激減しました。完全ではないようですが、いくらかは自分をコントロールする力が残っているようです。
最初は黒豆を片方のポケットにだけいれていましたが、そうすると通り道によってお店の入口に反応していました。河野先生によるとどけだけ身につければよいかはわからないそうです。大人の場合は子供よりもたくさん上半身と下半身と左右となど、もっとこまめに身につけなければいけないのかもしれません。
ここでいう電磁波とは、もちろん可視光線を含む電磁波のことを言っているのではなく、もっと波長の長い領域のものを指すと思われる。一般的には電磁波のリスクは低く見積もられているが、もしかしたら、白血病のリスクは増やすかもしれない。しかし、「電磁波を感じるタイプ」というのは、長期的なことを言っているのではなく、いわゆる電磁波過敏症、今現在曝露している電磁波が症状を引き起こすという話をしているのだ。掃除機に抱きついたり、レジに吸い寄せられたりするのは、別に電磁波でなくても説明はつきそうなものではあるが、「電磁波を感じるタイプ」なのだからしょうがない。こうした症状が黒豆をポケットに入れるだけで良くなったということは、症状の真の原因について何らかの示唆をもたらすような気がしないでもない。

他にも、「黒豆は水につけるとだめになる」「丹波の黒豆が一番効果がある」という「有用な」情報が提供されている。一患者がこうして情報を交換し合うことはよいだろう。しかし、個々の経験はどうしても限定的であるし、また、認知の誤りに陥りやすい。たとえば、事実は黒豆が効果がなかったしても、たまたま症状が良かったときは黒豆のおかげとし、症状が生じたときは別の原因(丹波の黒豆ではなかった、身に付ける黒豆の数が不足していた、黒豆を水につけていたからだめになった、etc...)のせいだと考えてしまい、正しい結論に至らないかもしれない。本当に黒豆に電磁波から身体を守る効果があるのなら、きちんと対照をもうけた研究で証明できるはずである。しかし、いったいどういうわけか、河野先生をはじめとした臨床環境医の方々は、証明の努力がお嫌いのようである。

*1:URL:ttp://www.hajime-net.jp/yybbs/yybbs.cgi?page=36 2004/01/23(Fri) 13:21 No.140