NATROMのブログ

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ドーキンスの自伝


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■好奇心の赴くままに ドーキンス自伝I: 私が科学者になるまで リチャード ドーキンス (著), 垂水 雄二 (翻訳)

ドーキンスの自伝。翻訳は安定の垂水雄二。ドーキンスをよく知らない人は読まなくてもいい(まず「利己的な遺伝子」を読もう)。自伝といっても先祖の話から「利己的な遺伝子」を出版するまで。「利己的な遺伝子」の出版以降は、二年後に下巻が出るらしい。

先祖の話をしている部分は退屈であった。寄宿舎に入学するあたりから徐々に読めるようになってきて、研究をはじめたあたりは面白い。コオロギの実験をしていたんだ。あと、ドーキンスは歌を歌うのが上手いそうだ。ちょっと意外であった。

ドーキンス自身も書いているが、ドーキンスはダーウィンやグールドのようなナチュラリストではない。アフリカで幼少期を過ごしたが、生物学者としてのキャリアに影響したと確信できないとのこと。観察から仮説を導くのではなく、理論から仮説を導くタイプの科学者である。

チンパンジーやライオンの行動の観察から、遺伝子は利己的であるという仮説を導いたのではない。自己複製子はその性質上、利己的になるであろうという理論から仮説を導いたのである。もちろん、仮説は観察や実験によって検証されるべきだが、それはドーキンスの仕事ではない。