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螢・納屋を焼く・その他の短編


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■螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫) [文庫] 村上 春樹 (著) 。


村上春樹を読んだことがなかったので、まずは短編から読んでみた。正直言って、意味がよくわかんない。Wikipediaには、「平易な文章と難解な物語」とあった。なるほど、うまいこと言う。なんとか面白く読めたのは、「踊る小人」だけ。これも何かの隠喩なのだろうが、それは理解できなかった。難解な物語を理解できる人たちがいるのはわかるが、村上春樹の売れ具合からして、それほど多くの人たちが本当に理解しているのであろうか?

「蛍」は、登場人物が面白い。主人公や彼女はわりとどうでもいい。地図マニアの同居人がいい味だしている。国土地理院に入って、ち、地図を作るために勉強している。毎朝6時きっかりに起床し、ラジオ体操を行う。服にはこだわらない。「彼が関心を抱くのは海岸線の変化とか新しい鉄道トンネルの完成とかいった種類の出来事に限られていた(P16)」。主人公より、よほどキャラが立っている。