NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

ティーカップ掲示板これまでありがとう

2022年8月1日にteacup.のサービスが終了する。teacup.のサービスのうちレンタル掲示板のサービスを利用していた。SNSが全盛のこの時代、掲示板というサービスを利用したことがない、そもそも存在自体を知らないという人もいるかもしれない。

私が掲示板を開設したのは2000年2月9日なので、足掛け23年間、利用していることになる。2000年にはSNSはもちろん一般的なブログサービスもなかった。ネット上の情報発信はウェブサイトで可能であったが、自分でHTMLを記述してFTPでアップロードするという手間がかかる。大人数が気軽にコミュニケーションをとるには掲示板がほぼ唯一の手段であり、さまざまなタイプの掲示板が利用されていた。

一番有名な掲示板は『2ちゃんねる』であろう。Wikipediaによれば1999年5月に開設されたとある。私は主に『Yahoo!掲示板』を利用していた。同じくWikipediaによれば1998年7月から運営されていたとある。2ちゃんねるは、固定ハンドルもいないことはないが、参加者の多くは匿名だった。一方で、Yahoo!掲示板はYahooのIDがなければ書き込めなかった。

利用の仕方はさまざまで、緩いコミュニケーションを目的としている人たちもいたが、私は主に疑似科学(ニセ科学)、特に進化論と創造論についての議論をしていた。意義のある議論ができるときもあれば、箸にも棒にもかからない時間の無駄としか言いようがない議論にしかならないこともあった。中には、金もうけを目的にニセ医学を吹聴したり、差別発言や誹謗中傷をする輩もいた。要するに今のSNSとあまり変わらない。

Yahoo!掲示板には、文字数制限があり一度に多くの分量の投稿ができない、他人とのやり取りがノイズとなって後から資料として使いにくい、新規投稿がなければログが流れて消えるといった欠点があった。そこで、2000年2月に■進化論と創造論 ~科学と疑似科学の違い~というウェブサイトを立ち上げた。

情報提供はウェブサイトでできるがコミュニケーションはそうはいかない。よって同時に掲示板を開設した。当時はウェブサイト(ホームページと呼ばれることが多かった)には掲示板がついているのが一般的だった。私はしなかったが、ウェイブサイトにアクセスカウンタをつけ、「キリ番を踏んだ(アクセスカウンタの表示がキリの良い番号だった)」ときには掲示板で報告するという文化もあった。

無料で利用できる掲示板サービスは複数あったが、ティーカップ掲示板を選んだのは、以前に利用したこともあり使いやすかったからだったと記憶している。ありがたいことに活発な書き込みがあり、利用者同士のコミュニケーションという目的を十分に果たしてくれた。オフ会も開いた。このときにできた友人たちとは、新型コロナが流行してからは直接会うことは難しくなったが、現在でも私にとって大切な人たちである。

2004年北海道オフ会の写真。電話で予約を取った結果、写真のようになった。

掲示板は当初は無料サービスであり、一定の投稿数を超えると古いものから削除されていった。消すには惜しいので自力でログを取った。■さらに過去の掲示板で閲覧できる。当時の雰囲気を知りたい方はご覧あれ。当初は手動でソースからHTMLを手打ちして作成し、のちには掲示板巡回ソフトのログファイルを元に再構成した。活発なときは1日に100件ぐらいの書き込みがあって大変だった。ティーカップ掲示板に加え、ツリー型掲示板とスレッドフロート型掲示板も併用していたときもあった。「第1」掲示板となっているのはそのためだ。

掲示板ログは2008年3月の■進化論と創造論についての掲示板ログ411まで取ってある。このころにプレミアムサービスに加入したので、そのころの投稿は削除されずに残っているはずだ。サービス終了までにログを残しておきたかったが、現時点で800ページ以上もあり手動では無理だろう。エキスポート機能もないようだ。

いまでも■進化論と創造論についての第1掲示板は現役で、活発な交流が行われている。2022年8月1日のサービス終了まで利用しようと考えている。これまでありがとう、ティーカップ掲示板。