NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

納豆不足が命を左右するかも

科学的根拠の薄い番組に衆愚が踊らされて納豆が品薄になったのは記憶に新しい。


■『発掘!あるある大辞典II』、放映前に内容が大手に漏洩(下)(liverdoor news)


 都内の中堅スーパーの食品担当者から、現場の生の声を聞いた。「年末年始で、一般の人は金を使い果たすから、門松が取れるころになると、質素な商品が急に売れるんです。納豆とか、お茶漬けとか、即席ラーメンとか。『発掘!あるある大辞典Ⅱ』のテレビ局は、健康情報とは表向きで、この時期に放送して欲しいと、納豆業者に乗せられたんじゃないですかね。納豆の売り上げが伸びる需要期ですから。タイミングが合いすぎですよ」と話す。
 同番組で、朝夕に2パック食べなさいと勧めたから、需要が2倍になり、「納豆狂想曲」となったのだという。
 「気の毒なのはお年寄りです」という、お客の声があった。大手スーパーの売り場は広すぎて商品を探すのが大変。年配者は商店や中小スーパーを利用するひとが多い。「毎日、健康食品として納豆を食べているお年寄りがある日突然、買えなくなるんですからね。自転車で買いまわりもできないし」と話してくれた。


情報漏洩があったかどうかはともかく、普段納豆を食べている人が割り食ったってのは事実だろう。そんで思い出したんだのがこれ。引用の引用になるけど。


■心臓手術と納豆(ちりんのblog)


薬より おいしくたのしい食事を優先して 薬の方で調節できるものはそうした方がいいとおもうのです。どうしても納豆を食べたい という方には 毎日同じ量の納豆を必ず食べていただき 同時にワーファリンの増量をすることもあります。


ワーファリンという薬の作用は、納豆に含まれるビタミンKに影響を受けるので、普通はワーファリン内服中は納豆は禁止である。しかしながら、引用にあるように毎日同じ量の納豆を摂取することを前提にしてワーファリンの量を調節することも可能である。こういう人が、今度の納豆騒動に巻き込まれて、納豆を確保できなればワーファリンによる凝固系のコントロールが狂う。こういうことがなかったことを願いたい。