NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

言論ファシズム

昨日の続きだよ。医学・疫学に対して鋭い指摘をした「経済屋」Count-Basei_Bandさんのブログより。


■Let's smoke!(墓の中からコンニチワ)


(Commentsの5番目に臨床医学者の見解を紹介してあります。要するに「商業主義」の「擬似科学」)

■Shall we smoke!(墓の中からコンニチワ)


 医学の専門家のブログ
http://intmed.exblog.jp/
と合わせてお読みになるとよろしいかと思います。


とあったので、その医学の専門家のブログを読んでみた。というか、いつも読んでいる■内科開業医のお勉強日記だったんだけど。該当部分を以下に引用する。


■学会名(内科開業医のお勉強日記)


批判されそうだが、抗加齢学会・禁煙学会って学会名前はどうもうさんくさく感じてしまう。
・・・なぜかというと目的名を学会名にしてしまうことに、研究の恣意性を感じてしまうのである。抗加齢・禁煙に不都合な事象はrejectされるのではないか、そして、レビューなども一方的に都合良く論文取捨選択されるのではないかというおそれである。
(中略)
禁煙学会は、hucksterismなのか知らないが、命名にて、この学会の活動範囲が禁煙という狭い分野に陥ってしまう、悪い命名だと思う・・・

読んでみればわかるけれども、学会の命名に対する批判にすぎず、Count_Basie_Bandさんの主張するような喫煙の害に対して懐疑的な意見ではない。まともな医師なら誰でも、喫煙の害や禁煙の必要性について理解している(たとえば、喫煙の害は全身性であることは間違いないと思う)。過去の記事を読んでみれば内科開業医先生が禁煙指導もしている医師であることがわかりそうなものなのに。誤読された上で持ち上げられて、内科開業医先生も迷惑であったろう。

案の定、禁煙学会のネーミングを批判したら、喫煙の有害性まで否定しているととらえた勘違いTBがあったと言われている。勘違いTBとは、Count_Basie_Bandさんの「墓の中からコンニチワ」から、内科開業医のお勉強日記に対するトラックバックのことである。そのことをCount_Basie_Bandさんに教えてあげたら、コメントを削除された。ちなみに私からCount_Basie_Bandさんへのトラックバックも削除されていた。はっはっは。ブログの運営方針は個人の自由だから、自分の馬鹿が読者にばれてしまうコメント・トラックバックは削除する方針をとるのは自由だ。でも、「禁煙ファシズム」を批判し、喫煙の有害性に疑問を呈する言論を封殺するのはけしからんとか、言っている人なんだよ。寒い。「反論はもちろん、疑問を呈することも許さないファシズムになっている」のはCount_Basie_Bandさんのブログだろ。

成人が、健康に害があるという情報を提供された上で、それでも喫煙するという選択をしたっていいと私は思う。そんなもん、個人の自由ではないか。喫煙にかかる社会的なコストは負担してもらわねばならないが、十分かどうかは別として、喫煙者は余計に税金を払っている。こちらに煙の来ないところでならいくらでも吸ってもらってもかまわない。だけど、「健康に害があるという情報を提供された上で」ってのが重要。「健康に害がないと思って吸いはじめたけど、実は害はありました。ニコチン中毒でいまさら止めれません」というはまずい。

「禁煙ファシズム」に対抗するなら、「喫煙は肺癌の原因だよ。心筋梗塞や喉頭癌にもなる。それが何か?そんなこと承知で吸ってんだよ。個人の自由だろ」と言えばいいのに、「煙草の有害性は怪しい」とかトンデモなことを言っちゃうから突っ込まれるのだ。こうしたトンデモさんの被害者は、リスクを承知の上で喫煙している他の「愛煙家」であろう。