NATROMのブログ

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歩行者の車道横断時の確認における非対称性についての一考察

車道に急に飛び出したら危ないので、きちんと確認するようにチビをしつけている。その成果もあって、今日もきちんと確認していた。


「ひだりみて、みぎみて、ひだりみて、みぎみて」
一回多いような気がする。「右を見て、左を見て、もう一度右を見て、それから渡る」と私は習ったぞ。いや待て、車は右からも左からも来るのだから、右だけ二度確認する意味はあるのか。念のために二度確認する必要があるのなら、左は一回だけよいのか。右だけ二回の確認が必要なエビデンスでもあるのか。チビのように、両側ともに二回確認するのが良い方法なのではないか。

このような仮説はどうか。日本においては車両は左側通行である。車道を歩行者が横切ろうとして、まず事故が起こる可能性が多いのは、歩行者から見て右から来た車によるものだ。左から来る車は、よしんば歩行者が急に飛び出たとしても、比較的余裕を持って止ることができる。ゆえに、車道を横断する際には、右側を二度確認し、さらに最後は右側を確認することが推奨されるのだ。この仮説は検証可能である。車両が右側通行の国では、「左、右、最後に左を確認して渡る」と教えられているであろう。