NATROMのブログ

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ときには経済学も


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■嘘つき大統領のデタラメ経済

経済学にはずっと前から興味を持っていた。いわゆる「文系」に分類される学問で、もっとも理系的なものだろう。というわけで経済学に関してちょこちょこと本を読んでいたりするのだが、どうも経済学者(と自称している人々)の中にも「トンデモ」がいるらしい。うっかりすると、中原英臣を読んで進化論てこんなものだと勘違いする人のような誤りを犯しかねない。進化生物学だと、主流の考え方を知りたければドーキンスやメイナード=スミスやマイアを、進化生物学者の中での異論を知りたければグールドやエルドリッジやマーギュリスを読めばいい。じゃあ、経済学だと誰を読めばいいの?

一番いいのは、きちんとした教科書を読んで体系的に理解することだろう。しかし、経済学にそこまで時間は避けない。教科書(薄っぺらい奴)は買ったのだが、難しいし時間はないしほったらかしにしている。私の欲しいのは、一般人向けに書かれてなおかつ読む価値のある本だ。どれがいいのかは自分ではわからないので、誰か信頼できる人が勧めている本を読むしかない。となると、ポール・クルーグマンだろう。邦訳も何冊か出ているけど、とりあえず山形浩生のサイトで、いろいろ読める。(■Paul Krugman 論文翻訳(YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page))

私のお勧めはこのへん。

■経済学者は進化理論家から何を学べるだろうか。
■IgNobel 章授与式におけるハイゼンベルグ不確定性講演

こうなると実際に本を買って読みたくなる。嘘つき大統領のデタラメ経済は私が読んだ三冊目。ニューヨーク・タイムズのコラム集。邦題はまああまり適切とは言えない。主にアメリカの経済についての本である。結果的に、ブッシュ大統領の悪口が多くを占めるが、それだけではない。この本の内容がどこまで正しいのか私には判断できないが、進化生物学についてあれだけきちんと理解できている人が、自分の専門分野でそれほど間違えているとはとうてい思えないのだ。


2004年12月1日付記。コメントありがとうございました。クルーグマン教授の経済入門読みたい本のリスト行きに。読みたいけどいつ読めるか。文庫のほうもう持っていました。