NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

なとろむからのメール 2018/5/3, Thu 23:54


林衛さんへ。

「90%は成人において検診で発見された甲状腺がんの中の過剰診断の割合の推定値です。福島県の場合は、90%が過剰診断でもおかしくはないとは思いますが、実際にはもうちょい少ないでしょう」と以前も書き、今回も再掲したにも関わらず、「福島甲状腺検査によってみつかった150を越える手術例のほとんど(90%)は,放置しておいても生涯症状がでないがんだと,強く結論した」とするのはなぜですか。私の書いた文章を読んでいますか。強く抗議します。ついでに言うなら「狭義のスクリーニング効果がほとんどなくて,ほとんどすべてが過剰診断だと結論」していません。

林衛さんは、きわめてしばしば、他人が言ってもいないことを言ったと誤って解釈します。

言ってもいないことを言ったとされてしまう問題について
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/00160929#p1

そのような人とは誠実に議論できません。過剰診断の定義についていまだにご理解していないのも読解力不足に由来するのではないですか。今後、私の主張を勝手に解釈してまとめることのないようにお願いいたします。私の主張に言及するときは、私の主張を正確に引用してください。

数字を明確にしないのは推測しかできないためと、数字が明確でなくても検診すべきかどうかという議論に影響しないためです。



>福島医大チームとなとろむさんとの考えのちがいは,
>・福島医大チーム:生涯無症状とは考えられない高危険度がんを手術した
>・なとろむさん:経過観察しようとしまいと乳頭がんの診断は90%が過剰診断(生涯無症状)だとわかりきっている
>だということでしょうか?

「福島医大チーム:生涯無症状とは考えられない高危険度がんを手術した」という林衛さんの解釈が誤りです。これも「言ってもいないことを言った」問題の一環です。林衛さんは、以下の質問に答えていません。

Q-1. 150を越える手術例について「福島医大チームが過剰診断ではないとしている」と書いてありますが事実でしょうか?根拠の提示をお願いいたします。

なとろむ。

要約:福島県の小児の甲状腺がんの過剰診断の割合について不明な部分を加味して慎重に幅のある表現を私はしていたが、林衛氏にはまったく伝わっておらず「ほとんどすべてが過剰診断だと結論」したかのように解釈された。いつもの「言ってもいないことを言ったとされてしまう問題」である。林衛氏には誠実な議論を行う能力に欠けている。また、「福島医大チームが過剰診断ではないとしている」とした根拠の提示を再度求める。