NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

林衛さんからのメール 2018/5/3, Thu 22:16


なとろむさん・みなさん:林 衛です

返信ありがとうございます。


2018/05/03 21:46、NATROM のメール:

林衛さんへ。

「乳頭がんのなかでも低危険度がんへの過剰診断を抑制し,高危険度がんを見極めて細胞診を含む詳細な検査や手術などの治療対象とする日本の甲状腺がん専門医たちによるガイドライン」に基づいても、過剰診断は避けられない、と申しております。何度も申し上げております。伝わっていますか。


ことばは伝わっていますが,内容が私には理解できません。

「過剰診断は避けられない」の意味は,過剰診断は(大幅に)減らすことはできるが,ゼロにはできないということでしょうか。であれば,わかります。

「避けられない」の意味をはっきりさせていただけないでしょうか。

生涯症状がでない病気を診断するのが過剰診断ですよね。低危険度の微小がんをたくさん診断し手術したのが韓国の例であり,そのようながんは診断せず,高危険度がん,つまり,深刻な症状を呈するので治療が必要だと考えられるものに絞って細胞診や手術をするようにしているのですから,過剰診断は減っているのではないでしょうか。

その結果,患者にとっての不利益が減り,病気の治癒,QOL維持が実現しているのだというのが,甲状腺専門の外科医の清水一雄医師の見解ですよね。だから,過剰診断論者のいう「不利益という意味がわからない」と清水医師が述べているわけです。

もしも可能でしたら,なとろむさんの考える,過剰診断の不利益について,ご教示いただけましたら幸いです。

そして,その不利益と利益とを比べた議論を今度こそ展開していただきたいと存じます。