NATROMのブログ

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出生前診断についてのメモ

日本医師会雑誌2014年9月号。特集「出生前診断を考える」。一字一句正確な引用ではなく引用者によって要約された部分もある。


NIPTのうちMPS法は21番染色体の胎児由来cell free-DNAの定量による。感度99.1%(210/212人)、特異度99.9%.
Palomaki GE et al., Genet Med 2012:14:296-305(P1131)。陽性的中率は別。

フランスでは1997年から全妊婦に母体血清マーカー検査が提供されている。2013年にはNIPTを導入するかどうかが議論された。強い反対もある。(P1136) 。

斎藤加代子「社会福祉をより一層充実させれば、障害が障害でなくなるのではないかとも思いますし、そうした体制の構築を健司していかなければなりません」。(P1139)

検査会社(シーケノム社)についても触れられていた。金儲けの対象とされることへの警戒は必要。

日本でのNIPT検査件数は年間7700件(2013年度)。(P1144)。

確定的染色体検査数は2万件(2012年)。母体血清マーカー検査は2万2500件(2012年)。(P1158)。

1999年の厚生科学審議会の先端医療技術評価部会「、医師は妊婦に対し本検査の情報を積極的に知らせる必要はなく、本検査を勧めるべきでもない」。(P1158)。インフォームド・コンセントの理念との両立は?

NIPTの臨床試験が実施されるという報道がなされた平成24年に、日本ダウン症協会に「ダウン症を持った子どもが生まれることで補助金収入を得ている。それが入らなくなると困るからNIPTに反対しているのだろう」という匿名者からの抗議があった。実際には協会には一切公的補助金は出されていない。(P1171)。下劣な障害者差別者の声。