NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

診察室での患者・医師関係をネットに持ち込むべきではない(2011年10月31日追記)

■がん患者が頑張って高額療養費について書いたらNATROMという医師にネチネチと絡まれた1年前(Zarathustra1951-1967の日記)にて言及されました。Zarathustra1951-1967さんによれば、私が「激怒」して、「勝ち誇」り、「粘着を続けた」そうです。実際にそうだったかどうかは、当エントリー、および、Zarathustra1951-1967さんが引用した私の発言を読まれて、各自読者が判断してください。Zarathustra1951-1967さんは公正にも、私の発言を適切に引用していますので、多くの読者は正しく判断できるであろうと、私は考えます。

Zarathustra1951-1967さんの指摘の一つは、がん患者経験者としての立場を、医師である私が考慮していないように見えるという点にあります。



がん患者経験者が自分の要求を細々と伝えようとしているだけなのに、なんで医者にこんなこと言われなければならない!?


「遠い将来や極端でありそうも無い例を考えても仕方ない」のは、そうかもしれませんが、「お金の切れ目が命の切れ目」のエントリーを、今回の高額療法費制度見直しと結び付けたのは、私ではなく、Zarathustra1951-1967さんです。
いったい、なんの権利があって、こいつはこんな言葉投げつけられるんだ!?

医療関係者でもない人間が、あれだけのエントリー書くのが、どれだけのことか、なんてこいつは想像したことすら無いんだろう。こちらは、もちろん、普通に仕事しながら、だ。


気持ちは理解できないでもありませんが、ネット上で意見を述べたからには、発言者の立場に関わらず、批判されることもあります。発言者の背景を考慮して、個人的に批判を控えるということはありえます。しかし、議論する能力を十分に持っていると思われる発言者に対して、その立場に配慮して批判を遠慮するということは、かえって失礼にあたると私は考えます。たとえば、発言者が、がん患者経験者ではなく、まさしく今現在がんの闘病中であったとしても、議論に十分に値すると考えれば、私は批判するでしょう。診察室での患者・医師関係を、ネットに持ち込むべきではないと私は考えています。