男性用便器の中央になにやら印が付いていた。よく見たら的の形をしている。
おそらくこういうことであろう。小用を足すときに、狙いが定まらずこぼしてしまう人が少なからずいる。不潔であり掃除の手間もかかる。そこで「ここを狙え」と的を描いておき、利用者がうまく狙ってくれれば、尿の飛散が減ることが期待できる。この手の話は医学都市伝説で触れられていたが、見るのは初めてであった。
しかし、実際に用を足そうと立ってみると、肝心の的が見えない。写真でわかるように的は便器の中央に描かれているが、普通の立ち位置からだと死角になって見えないのだ。一歩下がると的は見える。狙いを定めながら用を足そうとすると、必然的にやや後方より射撃せざるを得ないが、射撃の始まりと終わりでは弾は便器からはみ出すのではないか。
的を描いた意図が尿の飛散防止にあるとするならば、かえって事態を悪化させるだけではなかろうかと思われる。少なくとも、もうちょっと的の位置を低くするべきであった。医学都市伝説では、「朝顔の 花にこぼせよ 竿の露」という川柳を貼るという文学的な方法を紹介してあったが、「一歩前へ 君のはそんなに でかくない」というのを見たことがある。まだこういった文学的方法ののほうがマシであるように思う。