id:wadjaさんから「お題バトン」が回ってきた。私は「コンピューター」についての質問に答えればいいらしい。「パソコンまたは本棚に入っている『コンピューター』に関するものは？」とか、「特別な思入れのある『コンピューター』に関するものは？」とかの質問があるが、面倒くさいので個々の質問には答えずに、好き勝手に書く。
いわゆるコンピューターに「最初に出会った」のは、小学校高学年のころであった。いとこの家で、NEC製のPC-8001を買ったのだ。今のパソコンは買ったときからいろんなソフトがついているが、当時のパソコン（マイコンと呼ばれていた）は自分でプログラムを組まねばならない。雑誌かなにかについていた簡単なゲームプログラムを打ち込んで遊んだ。今のゲームソフトとは比べものにならないくらいのは当然として、当時のファミリーコンピュータなどの家庭用ゲーム機と比較してすら見劣りのするものであった。しかし、自分でプログラムを組むという魅力は既存のゲームでは得られない。
最初は雑誌のプログラムを改造するだけだったが、次第に自分でプログラムが組めるようになってきた。自分用のパソコンが欲しくなるが、小学生にはとても手が届かない。どうしたか。当時の電気屋の店頭には売り物のパソコンが展示してあったのだが、それを使わせて貰ったのだ。近所の電気屋のおばちゃんと仲よくなった。子供が熱心に使っているところを客に見せることで売れるかもしれないという思惑もあったのかもしれぬ。松下のショップだったので、使えるパソコンはJR100という微妙な感じのものだった。「一言」言わせてもらえば、キーボードが消しゴムみたいで使いにくかった。
中学生になったとき、PC-8001の上位機種であるPC-8801を買ってもらった。厳密には私のものではなく兄のものであったが、最初の自分のコンピューターとして「特別な思入れ」がある。市販のソフトでも遊ぶようになった。このころのゲームでもっとも時間を費やしたのはWizardryである。この話をすると長くなるし、コンピューターの話ではなくなるので止めておく。プログラムを作るのも続けており、ちゃんと市販のテトリスももっていたのに、何を思ったのかテトリスをアセンブラ言語でつくったりもした。Z80アセンブラ入門という本は、いまでも実家の「本棚にある」はずだ。
大学生になってPC-9801の上位機種を入手したが、そのころにはゲーム機としての比率が大きくなっていた。卒業後、研修医時代には一時的にマッキントッシュを使用した。なぜか、当時の医師の多くがマッキントッシュを使っていたのだ。大学院生になってもしばらくはマックを使っていたが、次第にWindows機に移行した。「最近のコンピューター」は、お金さえ出せばたいていのソフトは手に入り、自分でプログラムする必要はあまりない。私が使えるプログラム言語はBASICとZ80アセンブラだけであり、こんなのが役に立つとは思っていなかったが、基礎研究していたときには存外に役立った。
研究の種類にもよるのだろうが、私のやっていた研究というのがこれがまたアホみたいに大量のデータを扱うものだった。機械は生データをどんどん出してくれる。データを処理する既存の解析ソフトもある。しかし、生データを解析ソフトが処理できるような形に加工するソフトが当時なかったのだ。最初は手作業でしていたが、これが馬鹿にならない。そこで、Excel上で簡易なプログラムをつくった。BASICで動く。ちなみに私が習いにいった東京のある先生は、PC-8801上のN-BASICでデータ加工をしていた。2000年ごろの話である。その当時ですらエライ懐かしいものを見たという気になった。
コンピューターのおかげでずいぶんと楽できた。研究生活の最後のほうでは、ネズミ小屋の掃除やピペット操作といったウェットなことからは完全にフリーであった。なにより「良かった」のは、コンピューターに向かってなにか打ち込んでいたら仕事をしているのだと、ボスが思ってくれたところである。端から見たら、ヤフー掲示板に書き込んでいるのと、プログラム組んでいるのと区別つかない。まあ私が卒業したあともしばらくは私のプログラムが使われていたのだから、それなりにラボに貢献できたと思う。
コンピューターの「悪いところ」は、目が悪くなったことぐらいか。近視と本当に関連があるかどうかはわからないが、少なくとも良い影響は与えていまい。
Excelのvisual BASICも悪くないのだが、グラフィック機能に難がある。夜中に突然にマンデルブロ集合を描くプログラムを組みたくなったときには役目不足だ。PerlやらRubyやらの言語もちょいと勉強したこともあったが挫折した。Windowsで動く、お遊び程度のプログラムが組めるマイクロソフト系のBASICがないものかと「妄想」している。
こんなもんでどうすか。バトンは誰にも渡しません。
