NATROMのブログ

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キンド栽培野菜

こないだ八木山へドライブにいったときに、奇妙な看板を見つけた。「キンド栽培野菜」。


”キンド”とは、124種類の微生物と微量要素の入った地力回復資材です。土中のダイオキシン、放射能、農薬、水銀等をも分解し健康で安全な作物ができます。農薬は0〜3回の散布です。農薬にもキンドを入れて早く分解させ作物に残留しないようにしています。
ダイオキシンはおろか、放射能や水銀をも分解するというのはどうか。言わずもがなだが、水銀は元素だから分解できない*1。EM菌関係もかなりトンデモが入っているけれど、似たようなものなのだろう。効果がどのくらいあるのかはわかないが、少なくとも引用部分にあるような効果はないと断言できる。「微生物と微量要素」くらいでたいそうなものは入っていないから大丈夫だろうが、使っている資材にどのくらいの効果があるか農家が正確に理解していないというのは、ちょっと怖い。「キンドを入れたから大丈夫」と、農薬を使うケースもあるかもしれない。

「キンド」で検索したけれども、該当するのはほんの少しだけ。これから流行るかもしれない。

*1:書いているうちに気づいたけど、有機水銀のことかな?