NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

芋静注

朝日新聞の悪口を書けばアクセス数がうなぎのぼりだということで、何かふさわしい記事がないか毎日チェックしている。政治といった俗事よりも、科学や数学といった崇高なテーマのほうが、この日記にふさわしい。14日の朝日新聞の青鉛筆という小さな囲み記事に崇高なテーマを発見した。


芋焼酎をテーマにした本社主催の朝日懇話会が13日、鹿児島市のホテルで開かれ、余興に約60人の聴衆が計5銘柄を当てる「利き酒会」を楽しんだ。
芋焼酎には一家言を持つ本場の左党が、自信満々に挑戦。甘い香りに包まれた会場で、頭をひねりながら試飲を繰り返すうちにほろ酔い気分になる人もいた。
しかし全銘柄正解はゼロ。最高は3銘柄でわずか4人だった。60年間焼酎一筋の男性(78)は愛飲の焼酎すら分からず、「人の舌なんて、いい加減なもんです」。
全銘柄正解はゼロだって、わはは。最高は5問中3問正解でわずか4人。60人もいれば、デタラメでも5問中4問くらいは正解する人もいそうなのに。ここは一つ、デタラメでも5問中4問以上正解になる確率を計算してやろう。まず、全問正解となる確率だが、A、B、C、D、Eの銘柄を並べるやり方は5×4×3×2×1=120通り。その中で、全問正解は1通りだから、全問正解の確率は1/120。けっこう厳しいな。60人しかいなかったら、全問正解者がいなくてもそれほど変じゃない。

で、次に5問中4問正解の確率だけど、えっと、よく考えたら、1問だけ不正解って普通はありえないよな。違う問題に同じ銘柄を答えるといったひねくれ者でない限り。なんだ、5問中4問以上正解になる確率は結局、1/120か。つまらん。では、5問中3問正解になる確率は?まったくのデタラメに答えて、5問全部外れる確率はいくつだろう?5問中3問正解の確率、5問中2問正解の確率までは、手計算でできたけど、5問中1問正解、5問中0問正解の確率は、もっとエレガントなやり方(写真)で解いた。答えが見たい人は、続きを読むをクリック。(問題があまり厳密ではないけど勘弁してね。大体の意図を広い心で汲み取ってください。)

答え。
5つの銘柄を並べるやり方は5×4×3×2×1=120通り。
そのうち、全問正解は1通り。(1/120=0.8%)
4問正解は0通り。
3問正解は10通り。(10/120=8.3%)
2問正解は20通り。(20/120=16.7%)
1問正解は45通り。(45/120=37.5%)
0問正解は44通り。(44/120=36.5%)

以上、エクセルでマクロを組んですべての組み合わせを数えて出したので、答え自体は正しいと思う。

3問正解するやり方は、全問正解から任意の2銘柄を入れ換えることで得られるので、5C2=10通り。
2問正解するやり方は、任意の2銘柄が正解(5C2=10通り)で、残りの3銘柄が不正解。3銘柄を並べるやり方は3×2×1=6通りあるが、そのうち3銘柄すべてが不正解なのは2通り。よって、2問正解するやり方は、10×2=20通り。
1問正解と0問正解は、手計算ではできなかった。何かエレガントなやり方ありますかね?