NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

日雇い研修医

3月31日がくれば思い出す。私は無職であった期間があったのだ。







任期は1日とする

3月30日限り退職した

医員(研修医)(××大学医学部付属病院)に採用する
任期は1日とする
ただし任命権者が別段の措置をしない限り
平成×年3月30日まで任用を日々更新し以後更新しない
日給(勤務8時間につき)××××円を給する
××内科勤務を命じる
平成×年3月30日限り退職した

3月30日限り退職したといっても、別に4月1日から別の病院に勤務したってわけじゃないよ。当時は、医師国家試験の結果発表が4月以降にずれこむため、研修医の人事は5月中旬ごろを区切りとしていた。5月16日から翌年の5月15日まで大学病院で研修したが、なぜか、3月30日に退職したことになっている。2日後の4月1日にはまた任期1日で採用されたのだけれどもね。3月31日には無職であったわけだ。学生というわけでもないので、今で言うニート。

聞くところによると、任期が1日で、3月30日に一旦採用を打ち切るのは、昇給やら、ボーナスやらの問題を回避するためであるとのこと。そりゃ別にいいんだけど、3月31日も普通に働いていたぞ。病気は待ってくれないのだから、1日とはいえ研修医がすべて休めば業務が回るわけがない。タダ働きはともかくとして、3月31日に何か医療事故でも起こしたらどうなるんだろう?退職して無関係な人が勝手に業務を行って医療事故を起こしたってことになるのかな?「3月31日には侵襲的な処置を行うな」とまことしやかに言われていた。でも、よく考えれば、任期1日・日々更新ってことは、土曜日曜も無職ってことになるよね。普通に出勤していたし、ポケベルもよく鳴っていたけどな。

研修制度が変わって、今の研修医はもうちょっと安定した身分である様子。それでもずいぶんと過酷のところがあるようだが。