NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

バナナを語るドーキンス

ブライト経由。リチャード・ドーキンスのサイトってのもちゃんとあるのだが(参考:The Current Simonyi Professor: Richard Dawkins)、そこのFAQが面白い。いや、厳密にはFAQではなく、そのページの下の方にあるInfrequently asked questions(めったにない質問)が面白いのだ。一つだけ引用。


Tell me about a banana.

A banana is one of the wonders of the world. You could say that of any living object, and I could stop there. But I won't. A banana is a fruit, shaped by natural selection to be palatable, hence eaten and its seeds dispersed. But the bananas we eat are seedless. Artificial breeding has enhanced nature's means (palatability) while eliminating nature's end (seed dispersal). It's a metaphor for much that is special about humans.

訳してみた。誤訳があるかもしれないけれどもご勘弁を。


Q. バナナについて教えてください。

A. バナナは世界の驚異の一つだ。その気になればどんな生物についてもそう言えるのだとして質問に答えるのを止めることもできるのだが、続けよう。バナナは自然淘汰によって美味しく形作られた果物で、ゆえに食べられることによって種を散布する。しかし、我々がふだん食べているバナナには種はない。品種改良によって、自然淘汰の目的(種子の散布)が除去された一方で、自然淘汰の手段(美味)が強調されたのだ。これは人間に関しても大いにあてはまるメタファーだ。

"It's a metaphor for much that is special about humans."ってのがどういう意味なのか悩んだけれども、たとえば、避妊してセックスを楽しむ行為なんかは、自然淘汰の目的を除去しておいて手段を強調しているよね。ドーキンスはそういうことを言っているのだと解釈したけれどもどうか。