NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

枯れたヒマワリ

今回泊まる旅館は、暮れも20日を過ぎたころに予約した。仕事の都合等いろいろあるので、あまり早くから予約しておけないのだ。無論、どこもいっぱいだったが、ここはインターネットで空室ありだった。しかも値段も高くない(むしろ安い)。どういうところか推して知るべしなのだが、予想以上であった。オンラインで予約できるのだが、私たちは電話で3室7人で予約をいれた。電話では、31日はいっぱいだが、1日は余裕があるとのことであった。

17時過ぎに旅館に着いた。旅館やホテルではなく、旅籠や「おやど」という感じ。これはまあ予想範囲内。歓迎○○様という木の札が足りなくて、紙で追加してあったのがそこはかとない不安を感じた。だいたい、こんなにたくさん泊まれるほど大きい旅館には見えんぞ。フロントには誰もおらず、呼ぶと主人が出てきて、「実はお部屋が足りなくて、1室7名様でよろしいでしょうか」。とにかく部屋に行くと、これは物理的に大人が6人泊まるのは不可能だろ、という感じ。

他の宿泊客の話やらを総合してみるに、どうやらインターネットと電話の二重の予約体制でダブルブッキングになっていた模様。だいたい、ホームページがあることが不思議なくらいの旅館であり、従業員その他もネットに不慣れなのであろう。実質的には予約は埋まっていたのにも関わらず、かなり年末までネット上では空室ありになっていたようだ。主人も従業員もパニックになっている。結局、義父と義母は別の旅館に、他5人はこの部屋に泊まることになった。旅館の主人が別の旅館に部屋を取ってくれたとのことだったが、いまいち信用おけないので、電話番号を聞いてこちらからも確認の電話を入れてみた。が、「ウチは正月にはやっておりません」とけんもほろろ。通常の旅館に空室などあるわけもなく、主人が本来は正月は休みの安宿に頼みまくっていたのだが、どこに頼んだのかわかんなくなっていたらしい。他にも何グループかが、あちこちに紹介されていたようだ。

食事の準備にはかなり時間がかかった。地ダコの刺身がうまかったが、天ぷらは冷え切っていた。部屋からの眺めはすばらしく、温泉も快適であった。女湯のほうから、「こんな時期に空室ありなんておかしいと思った」という会話が聞こえてきた。従業員用の部屋に泊まっている人もいた。風呂から部屋に帰る途中のロビーに、枯れたひまわりの絵(写真)が飾ってあった。なるほど、この旅館にふさわしい。旅館が送迎するとのことだったがいつになるのかわからないので義父と義母を車で送っていって、布団も自分たちで勝手に敷いて寝た。義父と義母が泊まった宿は、観光客向けではなく、仕事をする人たちが泊まる素泊まりの宿であったとのこと。正月は、当然お休みであったが、どうしてもと頼まれたので義父と義母のみ泊めてくれた。義母は「何もトラブルがないよりも面白かったよ」と言ってくれた。