NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

深夜の引き継ぎの思い出

異動の季節だ。証券会社の担当の方が異動ということで挨拶に来られた。引き継ぎに1週間かけるそうだ。我々の業界では1週間もかけて引き継ぎするようなことはない。ゆっくりやって半日ぐらいだろうか。入院患者さんに挨拶、病状や治療方針について、病院ごとのローカルな決まりごと、注意すべきナースの情報などなど。直接会っての引き継ぎをせず、カルテにサマリーを書くだけのこともある。

3月31日まで宮崎で働いて、4月1日より福岡で働きはじめる人もいた。移動日なし。引越しはあらかじめ済ませていたらしい。私も、大学院生から勤務医に戻るタイミングで、たまたま当直のアルバイトが3月31日にあたっていたことがあった。4月1日から出勤しなければならないのだが、当直先の病院から帰るのに2時間ぐらいかかる。院長訓示とかあるらしいので、事情があるとはいえ、いきなりの遅刻は避けたい。

私の代わりに当直担当となるA先生に3月31日から行ってもらえればいいのだが、A先生も前の病院での仕事がある。話し合った結果、規定通り3月までは私が、4月からはA先生が当直業務を行うことにした。つまり、A先生は3月31日まで前の病院で働き、夜12時までに当直先の病院へ2時間かけて来ていただく。真夜中に引き継ぎ(これは大してすることはない)。私は、それから2時間かけて帰って、その日の朝から新病院へ出勤した。

10年近く前の話だ。当時は、別にたいした不満はなく、当たり前とまではいかないが、しょうがないねぐらいの感覚だった。研修医の頃に酷い目にあっていたので、それに比べればずっとマシだと思っていたのだろう。今だったら、絶対に文句言うね。4月1日は休むだろう。