NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

クリスマス中止のお知らせから学ぶネットリテラシーTOSS風味

TOSS(Teachers Organization of Skill Sharing)とは、「授業・教育にすぐに役立つ教育技術・指導法を開発し,集め,互いに追試し,検討しあって,自らの授業の 技術を高め,集められた教育技術・指導法自体もよりよいものにしようと努める教師の団体」である*1。TOSSのサイトを通じて授業の役に立つコンテンツを利用できる。しかし、その中のごく一部であるが、問題のあるものも混じっている。批判を受けたら削除しているようなので、今ではだいぶマシになったと思っていたが、どうやらそうではないようだ。galleryさんの以下のまとめが参考になる。


■TOSSの、こんな授業はイヤだ(もっと休むに似ている)


おなじみの水からの伝言をはじめとして、EM菌、マクロビオティック、歴史修正主義などなど。TOSSには質の良いコンテンツもあるのに、これでは他のコンテンツが可哀そうだ。ポータルサイトの管理はたいへんだろうけれども、審査をきちんとしていただきたい。水からの伝言に引っかかっちゃう教師がいるのは仕方ないにせよ、ちゃんと「水からの伝言はいくらなんでも」と気付ける教師もたくさんいるだろうに。

さて、TOSSのコンテンツは、だいたいはスタイルが同じである。授業形式で、発問、説明、指示を繰り返して生徒たちに理解させる。TOSSのスタイルを踏まえて、ネットリテラシーを学ぶコンテンツをつくってみた。



ネットリテラシー

〜嘘は嘘であると見抜ける人でないと難しい〜

<対象>小学校低〜高学年。<解説>総合的な学習の時間に行います。さまざまな授業でインターネットを利用する機会が増えましたが、ネット上の情報には誤りが多々あります。ネットの情報を鵜呑みにするべきではないこと理解するのを目的にしました。ネットを活用する授業の前に行うのが効果的です。

発問1:クリスマスは楽しみですか?

「楽しみ〜」「ポケモンのソウルシルバーを買ってもらうんだ」


発問2:クリスマスが中止になったらどうしますか?

「え〜」「嫌だ」


説明1:インターネットにクリスマス中止のお知らせが出ています

(クリック)「2009年のクリスマス中止のお知らせ(新型インフルエンザの感染拡大防止のためクリスマスは中止するというページ)」を提示。

子どもたちはざわつきはじめる。「嘘!」「なんで?」


発問3:クリスマス中止のお知らせは本当だと思いますか?

「本当だと思う」「隣のクラスも新型インフルエンザで学級閉鎖になった」


発問4:去年のクリスマスはありましたか?

「あった」「ポケモンのプラチナを買ってもらったよ」


説明2:でも、インターネットでは、去年のクリスマスの中止のお知らせも出ていますよ

(クリック)「2008年のクリスマス中止のお知らせ」を提示。

「ほんとだ」「どうして?」


指示1:どうして、去年のクリスマスの中止のお知らせが出ていると思いますか?ノートに書いてごらん。時間は2分です。

「クリスマスが中止になったところもあった」「お知らせが間違っていた」など


説明3:インターネットには役に立つことも書いてありますが、嘘も書いてあります。ネットに書いてあるというだけで信用せず、自分で考えたり、お父さんやお母さんや先生に聞いたりすることも大切ですね。


生徒たちの反応は捏造であるが、息子に「クリスマスの中止のお知らせ」を見せたときの反応を参考にした。ネットに嘘も書いてあることを学ぶ必要があるのは、生徒たちだけではない。


*1:URL:http://www.ne.jp/asahi/hp/chiirohi/mario/tos.htm